称名寺(鎌倉市) 2014年 1月
 称名寺(しょうみょうじ)は鎌倉市今泉にある浄土宗の寺院で、 正式には今泉山一心院(こんせんざんいっしんいん)称名寺である。
 場所は鎌倉市の市街地からはかなり離れていて、バスを使うときは大船駅からになる。 方角的に面白いのは、鶴岡八幡宮の参道・若宮大路をまっすぐ北北東に延長すると、この称名寺にぶつかることだ。 八幡宮からは直線距離にして約2kmの距離である。
 称名寺は今泉不動の名前でも知られている。創建は9世紀初めに空海によるとされる。 それが真言宗ではなく浄土宗の寺になったいきさつは、次のような事情による。
 初めは不動堂の別当寺としての円宗寺があり、17世紀末になって芝増上寺の貞誉より現在の山号寺号を与えられて 浄土宗寺院としての称名寺の基礎が築かれたという。
 筆者が訪れたのは、2014年の三が日明けの5日である。 大船駅からバスで「今泉不動」下車。 ゴミ焼却場の前のゆるい坂道を上がると称名寺である。 高くはないけれども山に囲まれていて、まわりに人家が見えないので、深山幽谷といった趣がある。
 入口には、六地蔵の石像が並んで迎えてくれる。 境内へと進むと、左側に庫裏、その奥に真新しい本堂、弁天堂が並んで建っている。 不動堂はさらに奥の石段を登った高い場所にある。 これらの諸堂宇は取り立てて珍しいとか特徴があるというものではないが、 弁天堂の前から川に向かって下ると、鎌倉では珍しい滝が現れる。 陰陽の滝というなかなか立派な滝だ。 鎌倉は山に囲まれていても、その山は低いし大きな川もない。 そんな地形的には平凡な環境の中で、この陰陽の滝は特異な場所といえる。 昔の人がここで神秘性を感じたとしても不思議ではなく、霊的な場所として扱われるうちに、 やがて寺院の建立につながったのだろう。 寺の縁起にも、弘法大師と陰陽の滝にまつわる興味深い話が伝えられている。
 この日は30分ほど境内を散策したが、誰にも会わなかった。 鎌倉といっても、このあたりのお寺まで足を延ばす人は少ないとみえる。 拝観後、散在ガ池から山を越えて覚園寺近くで街中に出たら、鶴岡八幡宮周辺は大変な数の人の波だった。
 写真は、CANON 5D Mark U・EF-24-105mm F4L IS USMで撮影。


 境内に入るとすぐにこの六地蔵が迎えてくれる。
 ほかにもたくさんの石仏を目にすることができる。
2014/1/5撮影

 本堂は2013年に建て替えられたばかりで真新しい。
 背後に迫っている斜面につけられた石段を登ると、不動堂がある。
2014/1/5撮影
不動堂に続く石段の下、弁天堂の前には、不動明王の石像がある。

 古びた石段を登りきると、不動堂(今泉不動)が現れる。
 不動堂に向かって右側奥には、三十六童子像が並んでいる。
 三十六童子は、不動明王の眷属として扱われる。
 これらの石像群の上方に大日如来石像がある。
2014/1/5撮影

 陰陽の滝(男滝)
 水量の少ない季節だったので、少々迫力に欠けていたが、滝壺が広く見栄えがする。
 この写真の左外に、規模の小さな女滝がかかっている。
2014/1/5撮影

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