浅草寺(東京都台東区) 2011年 1月
 東京都台東区にあり、都内最古の歴史を持つ寺院。 山号は金龍山で、今は聖観音宗の総本山である。 戦前までは天台宗の寺であった。
 浅草寺は大変有名だが、その宗派を知っている人は あまり多くないのではないだろうか。、
 東京都内で生まれ育った筆者にとって、浅草寺は身近な存在ではあったが、 実際に足を運んだことはあまりない。 住んでいる杉並区とはだいぶ距離があるからである。 浅草に用事と言えば、日光方面に山登りに出かけるときの電車の発着ターミナルとして、東武浅草駅を利用するときがもっとも多かった。
 ここに紹介した写真は、2010年から2017年にかけて浅草寺を拝観したときのものである。
 現在の浅草寺は、参詣に訪れる人、買い物に来る人、娯楽を求めてくる人などでいつも大変な混雑だが、外国人観光客が多いのも特徴である。 日本人より外国人のほうが多いのでは思えるほどである。 それだけ、この地域が昔ながらの日本的な雰囲気を色濃く残している場所であり、外国人観光客が期待する日本のイメージにあっているのだろう。

 浅草寺とその界隈は多くの観光客と参詣客で賑わっているが、境内の一画には、その喧噪が届かない静かな一角がある。 伝法院庭園である。
 伝法院とは浅草寺の本坊のことで、かっては住職が生活し皇族や将軍などの客人をもてなす場所で、一般人は入れなかったという。
 現在も、普段は一般公開されていないが、不定期で公開されている。 2017年の春は、「伝法院庭園特別拝観と大絵馬寺宝展」として3月から5月にかけて公開されていたので、 4月末の平日に出かけてみた。
 地下鉄の浅草駅から雷門に近づくと、朝10時なのにすでに人の波。 いろんな国の言葉が飛び交う中を縫って、伝法院の拝観者用入り口からまず大絵馬寺宝展の会場に入る。 大小さまざまな絵馬が並んでいる。 題材もさまざま。 江戸時代の絵師・鈴木其一や浮世絵師・歌川国芳の絵もある。 選ばれた約60点の絵馬が展示されていて、見応えがある。
 戦災で多くの堂宇を失った浅草寺に、どうしてこのように多くの絵馬が残っていたのか不思議に思って見ていたら、 戦災前に本堂修理のために蔵に移されていて難を逃れた、という説明があり納得した。
 絵馬の展示会場を出て、次は庭園の鑑賞。 遊歩道を歩くと、大書院の横に出る。 大書院の前には新緑に包まれた池をが配置され、池泉回遊式庭園となっている。 大書院の隣には小書院があり、その前の藤棚には花の房が垂れ下がっている。 ベンチも用意されていて、日をよけて一休みしながら庭園を鑑賞できる。
 池の反対側に回りこむと、景色が一変しスカイツリーを背にした大書院が池に写り込んでいる。
 伝法院庭園は国指定名勝となっているだけあって、一見の価値があるとともに、心休まる空間でもある。
(2017/5追記)
 写真は、CANON 5D Mark U・EF-24-105mm F4L IS USM、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDM およびRICOH GX200で撮影。


 雷門
 この写真をときはお正月の飾りつけが残っていた。 ほかに雷門周辺で目立つものと言えば、建設の進むスカイツリーだ。
2010/01/11撮影

 日本で最も古い商店街と言われる仲見世。 100店近くのお店が軒を並べている。
 正面は宝蔵門で、戦後に再建された建物。
 日本人も多いが、外国人も目立つ。 欧米人だけでなく、アジア各国の言葉が飛び交い、 ここが日本なのかと思うほどである。
2010/01/11撮影

 宝蔵門から見た本堂(観音堂)。
 戦後に再建された本堂の屋根瓦は、平成になって軽量で耐食性に優れているチタン製に変更されている。 金属感が出ないよう工夫されているようだが、こうして見ると、やはり従来の瓦の質感とは異なるようだ。
2010/12/28撮影

 江戸時代に作られた二天門。
 戦災の被害を受けた浅草寺では貴重な建物で、 本堂の東側にある。
 この二天門に安置されているのは、四天王のうちの増長天と持国天である。
2011/01/14撮影

 夕陽を浴びる五重塔と建設中のスカイツリー。 完成すれば、もっと目立つようになるのだろう。
2011/01/14撮影
浅草文化観光センター
 この写真を見て、違和感を覚えるだろうか?
 よく見ると、正面のビルは大変個性的な変わった顔をしているが、 一見したかぎり東京の下町の普通の景色の中に融け込んでいる。
 このビルが新装なった浅草文化観光センターで、2012年春に開業した。
 完成までに、浅草寺との軋轢などで話題になったビルである。
 2012年暮れ、羽子板市の見物がてら、ビルを見に出かけた。 写真は仲見世の裏通り路地から撮ったもの。 ビル周辺の観光客などを観察してみても、関心を示している人はいない様子だった。 そういう意味では、なかなかよく考えられたデザインだと思う。
 ビル8階の展望テラスまで上がると、東京スカイツリーや浅草寺が見渡せる。
2012/12/17撮影
 伝法院庭園
 池越しに、スカイツリーを背にした大書院(明治35年(1902年))が望める。
 桜の花は終わっていたが、新緑が鮮やかだった。
2017/4/28撮影

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