専修寺(三重県津市) 2010年 12月
 専修寺(せんじゅじ)は真宗高田派の本山で、山号は高田山である。
 専修の名は、専修念仏から来ている。
 もともと専修寺は13世紀に栃木県の高田で建立されたのだが、 16世紀になって火災で焼失し、この一身田の専修寺が教団の本拠地となったという歴史を持つ。
 親鸞直筆の文書が多数伝来していることでも知られている。
 訪れたのは12月初めで、曇り空に風が冷たい日だった。 JR一身田駅で下りると、家が建ちならんでいるけれども人気がなくがらんとしている。 津の市街地のはずれにあたっていて、働き手は出払っているせいかもしれない。 駅には案内図もない。 道路に出て見渡すとお寺の屋根が見えるので、 そちらの方向に歩くと案の定、専修寺だった。 いくらも歩かないうちに唐門があった。 檜皮葺のりっぱな門だが、少し先にある山門はもっと大きい。 さっそくこの唐門から境内に入ると、眼の前に如来堂が現れる。 裳階(もこし)があるため、高く見える。 隣り合った右手には御影堂(みえいどう)があり、こちらのほうが面積としては広い。 このように親鸞を祀る御影堂のほうが、本堂としての如来堂(本願寺では阿弥陀堂)より大きいのは、 東本願寺などと共通している。 宗派は異なるが、同じ浄土真宗の寺であり、同様の考えに基づいているようだ。
 主だった伽藍を拝観したのち、東側に回ると、 太鼓門というほかでは見かけない形の門があった。 最上部にある太鼓が寺内町に時を告げていたという。
 ここから外に出てかっての寺内町を少し歩いてみた。 一身田には、寺内町(じないまち)の面影が色濃く残っていることで有名だからだ。
 しかし、風の冷たさがこたえたので、少し歩いただけで駅に戻ることにした。 飲食店でもあれば入って体を温めようと思ったのだが、 駅までの間にお店は見当たらず、仕方なく駅の待合室で時間をつぶすはめになった。
 ところで、一身田の読みは「いしんでん」あるいは「いっしんでん」のどちら なのだろうか?
 JRの駅名は「いしんでん」だが、専修寺でいただいたパンフレットには、 「いっしんでん」とふり仮名がつけられていた。 インターネットで調べてみたら、どうも地元では「いっしんでん」が普通のようである。
 写真は、RICOH GX200で撮影。


 唐門から見た如来堂
 18世紀に建てられ、裳階があるため、背が高く見える。
2010/12/07撮影

 唐門から中に入ると、如来堂(左)と御影堂(右)が見渡せる。
2010/12/07撮影

 山門からの御影堂
 17世紀に建立された大きな建物だ。
2010/12/07撮影

 釘貫門を通して見た山門
 手前の石橋は、堀の上に架けられている。
 山門に掲げられた幕には、「開山聖人七百五十回遠忌報恩大法会  平成二十四年四月六日〜十六日」 と書かれている。
2010/12/07撮影

 太鼓門
 最上階にある太鼓が、寺内町に時を知らせていた。 お城の楼閣のようにも見える。
2010/12/07撮影

 境内から出て少し歩くと、かっての寺内町の面影を残していると思われる家並み が続いていた。
2010/12/07撮影

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