柴又帝釈天(東京都葛飾区) 2010年 12月
 正式には、経栄山題経寺(きょうえいざん だいきょうじ)という葛飾区にある日蓮宗の寺である。
 通称は柴又帝釈天、なんといっても映画の「男はつらいよ」シリーズの寅さんゆかりの地として 知られる。
 筆者は映画をあまり見ない方なのだが、飛行機の中で寅さんの映画を何作か見る機会があり、 親しみを持っている。
 東京に住んでいながら、実際にこの帝釈天を訪れたのは、2010年になってからだ。 生まれてからずっと杉並区で生活してきたので、都心を越えて東京の東側にはあまり足を運ぶ機会がなかった。 なんとなく遠いというイメージがあるのだ。
 実際に柴又に出かけてみると、駅前の狭い道路に商店が並び、気さくな雰囲気の漂う 映画の舞台設定にふさわしい町だった。 お参りに来る地元の人も多いが、それ以上に観光客も多い。 参道にはいろんな店が並んでいて、煎餅や葛餅、団子など手作りを売り物にしているお店が目立つ。
 大して長くない参道の突き当たりが二天門である。 境内に入って正面に、帝釈堂と右手に祖師堂がある。 寅さんが産湯をつかったという御神水は左手にある。 境内で一見の価値があるのは、帝釈堂の奥にある内殿の壁を埋め尽くす彫刻ギャラリーだ。 大正から昭和にかけて制作されたものだが、実に精巧である。 題材は法華経説話に基づいている。
 裏手にある庭園も見事だ。
 帝釈天で忘れてはならないのが、庚申信仰である。 年に6回ほどある庚申の日が縁日とされ、今でも多くの参詣者を集めているようだ。
 境内を出て、東に歩くと江戸川に突き当たり、矢切りの渡しがある。 対岸は千葉県で、柴又とは対照的にのどかな田園風景が広がっている。
 ほかにも、「寅さん記念館」や日本庭園が見事な「山本亭」などが帝釈天の近くにあり、散策するにもいい場所である。
 写真は、CANON 5D Mark U・EF-24-105mm F4L IS USMおよびRICOH GX200で撮影。


 柴又駅に降り立つと、寅さんの像が迎えてくれる。 駅に向かいながら、帝釈天の方を振り向いている。
 2017年には、寅さんを見送るさくらの像も建立されている。
2010/12/15撮影

 参道には両側から商店が並び、庶民的な雰囲気だ。 道幅があまり広くないのもいい。
 正面は二天門で、明治期に建てられた。 二天とは、四天王のうちの増長天と広目天である。
2010/1/24撮影

 瑞龍の松が帝釈堂の前に大きく枝を広げている。
2010/12/15撮影

 寅さんが産湯としてつかったという御神水
2010/1/24撮影撮影

 帝釈堂内殿の壁は、見事な木彫りの彫刻群で覆われている。
2010/1/24撮影撮影

 帝釈堂の裏には、邃渓園(すいけいえん)という庭園があり、 都会の中のオアシスのようだ。
2010/12/15撮影

 矢切りの渡し
 帝釈天から東に少し歩くと江戸川に出、矢切りの渡しがある。
 対岸は千葉県松戸市。
 このときは冬の晴れた日だったので、土手の上から真っ白な富士山を見ることができた。 松戸市側は畑が広がり、のどかな田園風景が残っている。
2010/1/24撮影

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