龍口寺(神奈川県藤沢市) 2016年 11月
 龍口寺(りゅうこうじ)は藤沢市にある日蓮宗の寺院で、山号は寂光山である。
 場所は、江ノ電の「江ノ島」駅東側で、鎌倉市に隣接する南向きの傾斜地にある。 もともと刑場(龍ノ口刑場)があり、1271年に日蓮が処刑されそうになったところだそうだ。 この事件は、龍ノ口法難と呼ばれている。 その後、刑場跡に弟子の日法が堂宇を建てたのが、龍口寺の始まりとされる。
 最寄り駅は江ノ島駅で、多くの観光客は南側の江ノ島方面に向かい、龍口寺の方角に歩く人は少ない。
 江ノ電の走る車道に面した仁王門の近くには、龍ノ口法難跡の碑が建っている。 南面して建つ仁王門と山門をくぐり、中に進むと、正面に本堂が現れる。 この本堂を中心に鐘楼、五重塔、七面堂、仏舎利堂などの伽藍が、丘陵地の斜面に配置されている。 石段が多いので、各堂宇を巡るとちょっとした運動になる。 特に仏舎利塔は境内最上部にあるので見晴がよく、高層マンションの頭越しに江ノ島を展望できる。
 龍口寺で目につくのは、なんといっても五重塔である。 それも、鎌倉地域(鎌倉市と隣接地域)に現存する唯一の木造五重塔なのである。 古都鎌倉が、京都や奈良と見かけ上で異なる点の一つは、江戸時代以前の五重塔や三重塔が現存していないことである。 そういう観点からは、龍口寺の五重塔は明治時代の1910年建立で比較的新しい塔ではあるが、貴重な存在と言える。
 ところが、五重塔は本堂の裏山中腹の森の中に半ば埋もれたような形で建っているので、どこを探しても五重塔らしい形で塔全体が見渡せるところがない。 塔の真下まで行って見上げれば、初層から5層までの屋根の軒がなんとか見えるが、今度は塔頂部や屋根瓦が見えないのだ。 下に載せた写真は山門近くから撮ったものだが、五重塔は大部分が木々に隠れている。 観光客目当てに建てられた塔ではないことを承知の上で、もうちょっと格好良く見えたなら、話題に上ることが多くなると思うのだが。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。


 大本堂と五重塔
 五重塔全体が形よく視野に入る場所が見つからず、この角度からの写真になった。
2016/11/13撮影

 山門脇には、海紅豆(かいこうず、デイゴの1種)の木があり、夏には鮮やかな花が目立つ。 立札には、「平成7年、横綱曙太郎植樹」とあるから、あまり古いものではない。
2015/9/13撮影

 和菓子屋の老舗「扇屋」
 龍口寺の門前にあり、実物の江ノ電の電車が店先に置かれている。 写真には写っていないが、軒先の上にはパンタグラフまで乗っかっている。
 初めてこの光景を目にしたときは、びっくりしたものだ。
2015/9/13撮影

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