来迎寺(鎌倉市西御門) 2014年 3月
 来迎寺(らいこうじ)は鎌倉市西御門にある時宗の寺院で、 山号は満光山である。
 鶴岡八幡宮の北東の方角、源頼朝の墓から遠くない場所に位置する。 一向上人により、13世紀末に創建されたと伝えられている。
 昔はこのあたりに、報恩寺などいくつかの寺があったそうだが、今残っているのは来迎寺だけである。
 また、西御門(にしみかど)という古風な地名が古都らしくていい。
 住宅街の中の道を抜け、坂道を少し上がると来迎寺で、石段を登って本堂前に出る。
 来迎寺に拝観目的で訪れる多くの人のお目当ては、本堂内に安置されている仏像、 特に土紋の施されている如意輪観音半跏像だろう。 私もその一人である。
 本堂正面のインターホンで来意を告げると、女性が現れ、戸を開けてくれた。 本堂に上がって志納金を置き、「来迎寺略縁起」と書かれた説明書きを受け取って拝観である。
 正面に本尊の阿弥陀如来座像、向かって右側に如意輪観音半跏像がある。 もとは源頼朝の法華堂の本尊で、のちにここに移されたという。 この像は、典型的な六臂の如意輪観音半跏像である。 両足を輪王座に組み、右第一手は肘を曲げて頬に手を当て、右第二手に如意宝珠を、左二手には法輪を持っている。 傾いだ顔の表情が素敵だ。 もともと、観音さまは男性でも女性でもないのだが、慈悲の相から女性的な雰囲気を漂わせていることも多く、 この像もそうだ。 夢見るようななんとも穏やかな表情である。 土紋という装飾技法も見どころの一つである。 土紋は鎌倉地域だけに見られる技法で、現存例は10体もないと言われている。
 今は彩色がほとんど落ちているので、極彩色であればまた違った印象を受けるかもしれない。
 本尊を挟んで向かって左側には、地蔵菩薩像が安置されている。 報恩寺(廃寺)の本尊だったというどっしりとした像である。
 拝観を終え、心豊かな気分になって外に出ると、 近くの横浜国大のグランドでテニスをやっている学生達の掛け声が聞こえてきた。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。


 本堂の前、南側の傾斜地には墓地が広がり、そこから境内を見渡せる。
2014/2/23撮影

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