医王山毛越寺(岩手県西磐井郡平泉町) 2010年 4月
 毛越寺(もうつうじ)は平泉にある天台宗のお寺。
 2010年春、三度目に訪れたときの印象記である。
 この日は、最初に中尊寺と義経堂を見て回り、無量光院跡を経て、 最後に毛越寺へとやってきた。 毛越寺に着いて最初におやっと思うのは、山門である。 現在は拝観券発行所になっているが、一関藩主の門を大正時代に移築したものだという。 なるほど、お寺の山門にしては、なんとなく違和感を感じるわけである。
 境内に入ると、広々とした空間が広がる。 正面には、平成元年に再建された本堂が見える。 本尊は、薬師如来である。 次に本堂の右手に進むと、大きな池がある。 大泉が池である。 この池が浄土庭園の中心である。 かっては、この池のまわりにいくつもの伽藍が並んでいたはずであるが、 今見える建物は、開山堂と常行堂だけである。 最も古い常行堂も1732年に再建されたもので、壮大な伽藍が作られた奥州藤原氏の時代 のものは一つも残っていない。
 大泉が池のまわりを歩きながら、往時の繁栄に思いをはせるしかない。
 形になったものはほとんどが失われても、往時をしのぶ行事は今も続いているという。 拝観券と一緒にもらったパンフレットによれば、 曲水の宴、延年の舞、常行堂二十日夜祭など興味深い行事が行われているようで、 案外こういう無形で受け継がれてきたもののほうが、 長く残るのかもしれない。
 ところで、平泉にはもう一つ無量光院という浄土庭園があったという。 毛越寺から歩いて15分くらいだろうか。 今は、無量光院跡という遺跡で、池跡に水が張られていて、 わずかに往時の雰囲気をしのぶことができる。 この無量光院は、藤原秀衡が建立した平等院を上回る規模の庭園だったそうだ。 当時は大きな寺院だけでも中尊寺、毛越寺、無量光院があったわけで、 藤原氏の経済力は想像を絶するものがあったと言えよう。
 写真は、RICOH GX200で撮影。


 桜と開山堂。 開山堂は、毛越寺を開いたとされる滋覚大師を祀っている。
2010/4/29撮影

 浄土庭園の中心である大泉が池。
2010/4/29撮影

 無量光院跡の池。 毛越寺の近くに、藤原秀衡が京都の平等院を模して建立した無量光院跡がある。 平等院を上回る規模だったとされるが、建物は残っていない。
 それにしても、いくらも離れていない場所に、中尊寺、毛越寺、無量光院 と大規模な寺院を造営した藤原氏の経済力は驚くべきものだ。
2010/4/29撮影

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