広徳寺(東京都あきる野市) 2012年 11月
 広徳寺(こうとくじ)は東京都あきる野市にあり、14世紀に創建された臨済宗建長寺派の寺院である。 山号は龍角山。
 筆者は、2012年9月末、初めてこの広徳寺を訪れた。 同じあきる野市にある大悲願寺を拝観後、歩いて向かった。 少々距離があるが、穏やかな天気の日だったので歩くのは苦にならなかった。
 檜原街道の上町交差点から秋川に向かって下り、 橋を渡ってからは丘陵の裾野にある広徳寺へとゆるい登りになる。 人家がまばらになり緑が濃くなるとお寺はもうすぐだ。 その途中で、道路の脇にヒガンバナが群生しているところがある。 朱色の花は大変目立つので思わずカメラを向けたが、あまりできのよい写真にはならなかった。
 坂道を登ると正面に広徳寺の総門が現れる。 茅葺の門である。 この門構えだけでも、古刹の雰囲気が漂っている。 横手にある通用門のような出入り口から中に入る。 すると少し先に立派な山門が視野に入る。 なるほどこれは一見の価値がある山門だ。 堂々としていても堅苦しさはなく、周りの自然の中に融け込んでいる。 山門をくぐると大きな銀杏の木が2本あり、その先の左手に経蔵、右に鐘楼、正面に本堂が現れる。 全体にゆったりとした伽藍配置になっていて窮屈さがない。
 本堂裏手には池があり、東京都の天然記念物に指定されているタラヨウの大木があったりで、 こちらも散策によい。 新緑や紅葉のときは、さぞかし見事だろうことは、容易に想像できる。
 しかし、これだけ広い境内を擁し、主要伽藍が茅葺屋根となれば、手入れや維持が大変だろうな と余計な心配も浮かんでくる。

 上記の文章は、9月の拝観時の印象記である。 いろいろ調べると、大イチョウの黄葉であれば11月20日前後がいいらしいことがわかり、 ぜひその頃に再訪したいと思っていた。 ところが、なかなか日にちの都合がつかず、実現したのが11月も終わりに近い29日になってしまった。 このときは、ほかの場所には寄らず、広徳寺だけを目指して武蔵五日市駅から歩いた。
 紅葉の時期を逸したのではないかと気がかりだったが、境内に着いてみるとモミジなどはまだ十分に鮮やかだった。 さすがにイチョウの黄葉はピークを過ぎ、枝に残っている葉は少なくなっていたけれども、 地面が黄色に染まって、最後の彩りを放っているようで印象的だった。
 という次第で、ここで紹介する写真のほとんどを、見栄えのする11月再訪時のものに入れ替えた。(2013/1/23記)
 写真は、CANON 5D Mark U・EF24-105mm F4L IS USMおよび PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDM、DA 12〜24mmF4で撮影。


 総門
 門の手前に見える土手のようなものは、土塁の遺構だろうか。
2012/11/29撮影

 総門脇の通用門を通して、茅葺屋根の山門が見える。
 江戸時代に建立されたと言われる、姿形のよい山門だ。
 山門の奥に本堂が見えている。
2012/11/29撮影

 山門を近くで見ると、斗栱(ときょう)の作る幾何学模様が美しい。
2012/9/27撮影

 山門と本堂の間には2本の大イチョウがあり、もう一つ山門があるかのようだ。
 正面に本堂、左端に経蔵の一部、右端に鐘楼の一部が見えている。
 イチョウは大部分の葉を落とし、黄葉はすでに終盤。
2012/11/29撮影

 上の写真からさらに進んで、大イチョウのあたりから見た本堂(写真左)
2012/11/29撮影

 鐘楼から見た経蔵
2012/11/29撮影

 本堂裏手には雑木林に囲まれた池があり、周りの木々が紅葉の盛りだった。
2012/11/29撮影

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