広隆寺(京都市) 2013年 6月
 広隆寺(こうりゅうじ)は、京都市右京区にある真言宗単立寺院で、 山号は蜂岡山である。
 広隆寺は、渡来人系の秦氏の氏寺として7世紀前半に創建されたといわれる京都最古の寺で、 当初は平野神社付近にあったらしい。
 筆者が訪れたのは6月の晴れた日。 南面する楼門の前は車の往来の多い三条通りである。 この通りには京福電鉄の線路があり、路面電車区間となっているので、京都市内でもちょっと変わった風景だ。
 楼門から境内に入ると、市街地の喧騒が嘘のような静かな空間が広がっていた。 広々とした境内に堂宇が点在している。 奥へと続く石の歩道をたどっていくと、上宮王院太子殿(本堂)である。 聖徳太子立像が本尊として安置されているが、普段は公開されていない。
 本堂の背後に霊宝殿があり、ここに2体の弥勒菩薩半跏像など国宝・重文に指定されている仏像が安置されている。 中に入ると、薄暗い部屋の壁に沿うように仏像が並んでいる。 拝観者用のスペースは中央にゆったり取られているので、団体客と鉢合わせしてもあまり気にする必要はない。 このときも修学旅行生の一団と一緒になったが、拝観に支障はなかった。
 国宝や重文に指定されている仏像が並ぶ中で、特に名高いのは、「宝冠弥勒」と通称される弥勒菩薩半跏像である。 一見して、奈良の中宮寺にある木造菩薩半跏像と似ていることがわかる。 どちらも飛鳥時代の仏像と言われている。 その優美さは言いつくされた感があるが、気品のあるお顔、繊細な手の表情などやはり感動的だ。 仏像という枠を越えて、引きつけられる魅力がある。
 もう1体の「泣き弥勒」と呼ばれる弥勒菩薩半跏像や木造不空羂索観音立像、十二神将立像などの諸仏像も なかなかに存在感がある。 これらの仏像を行きつ戻りつして眺めていると、時間を忘れるほどである。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。

 江戸時代の18世紀初めに建立された楼門は、屋根が大きく、頭でっかちに見える。
 楼門の前は三条通りで、京福電鉄嵐山本線の線路が見えている。 このあたりは路面電車区間になっている。
2013/6/16撮影
 広隆寺の周りは古くからの家が立ち並ぶ市街地だが、門を一歩入ると、喧騒から離れた別世界で、 初夏の陽光に照らされて木々の緑がまぶしかった。
 この写真は、楼門付近から境内を眺めている。 石組の歩道に導かれて奥に進むと上宮王院太子殿(本堂)に達する。
2013/6/16撮影

 上宮王院太子殿(本堂)
 本尊の聖徳太子立像が安置されているが、普段は非公開である。
 この建物の裏手に、弥勒菩薩像2体など多くの仏像が安置されている霊宝殿がある。
2013/6/16撮影

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