建仁寺(京都市) 2013年 2月
 建仁寺(けんにんじ)は、臨済宗建仁寺派の大本山で山号は東山である。
 京都市東山区にあり、1202年に創建されている。 開山は栄西、開基は源頼家である。 京都五山の第3位に位置づけられていた。
 創建当初は、天台・密教・禅の三宗兼学であったが、後に蘭渓道隆が入寺したころから純粋禅の 寺になったという。
 開山の栄西は、正式に臨済宗を日本に伝えた初めての人物とされ、建仁寺を創建する2年前には 鎌倉で寿福寺を開いている。
 建仁寺では、のちに曹洞宗の開祖となる道元が南宋に渡る前に、禅を学んでいたことがあるので、 日本の禅宗全体にとっても歴史上重要な寺院といえる。
 筆者が訪れたのは2013年2月。 花見小路通側の門から入ったのだが、これは裏門のようで、境内を抜けて南の八坂通側に行ってみると りっぱな勅使門があった。 建仁寺の伽藍は、主要な堂宇が南向きに並んでいる禅宗様になっていて、こちらが正門である。 勅使門の内側に放生池、三門、法堂という順に配置されている。 三門のそばには、茶碑が建っているのが建仁寺らしい。 栄西が日本に茶を普及させたことを記念している。
 本坊の受付で拝観料を払うと、カラー印刷の立派な小冊子をいただける。 それに、首からカメラをぶら下げていたためか、境内はどこでも撮影自由ですと説明してくれた。 撮影が制限されている寺院が多いので、この言葉が印象に残っている。
 拝観順路に従い、最初に法堂に向かう。 高い天井には、2002年に小泉淳作画伯によって描かれた双龍図がある。 同じ作者による建長寺(鎌倉)法堂の雲龍図を連想させる。
 法堂から方丈に戻って大雄苑(だいおうえん)という庭園、茶室、潮音庭などを回り、見学を終えた。 見学内容、コース、配布資料などよく考えられていると感じた拝観だった。
 なお、建仁寺は多くの文化財を擁していることでも知られるが、中でも国宝の風神雷神図(俵屋宗達筆)は 有名だ。 複製の屏風を見ることができる。

 栄西が喫茶の風を日本で広めたことに関連して少し付け加えておくと、 栄西は宋から持ち帰った茶種を筑前の背振山に植え、ここが日本の茶栽培の発祥地と言われている。 その背振山に筆者が登ったのはちょうど10年前の2003年3月下旬のことで、予期せぬ季節外れの降雪に驚いた記憶がある。

 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。

 三門(写真左)
 江戸時代末期の建築だが、20世紀に入って静岡県から移築されたもの。
2013/2/10撮影  勅使門(写真上)
2013/2/10撮影
 1765年に建立された法堂(写真左)
 裳階付きのため、二階建てのように見える堂々とした禅宗様の建築だ。
2013/2/10撮影
 法堂の天井には小泉淳作画伯による双龍図がある。
 小泉画伯は、鎌倉の建長寺法堂の天井に雲龍図を描いている。
2013/2/11撮影
 花頭窓越しに見た庭園「大雄苑(だいおうえん)」
2013/2/11撮影
潮音庭(写真左)
2013/2/11撮影  境内の山門近くには、栄西禅師茶碑が建っている。(写真上)
 日本で茶を広めたのは、栄西とされている。
 碑の周りに植えられているのは茶の木のようだ。
2013/2/10撮影

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