甲斐善光寺(山梨県甲府市) 2012年 11月

 甲斐善光寺(かいぜんこうじ)は浄土宗の寺で、正式名称は定額山浄智院善光寺である。
 一般に、他の善光寺と区別するため甲斐善光寺と呼ばれている。
 寺の創建は、1558年に武田信玄が川中島の戦火が信濃善光寺に及ぶのを恐れ 本尊などを移したのが始まりといわれている。
 筆者が訪れたのは、2012年の11月。 JR酒折の駅から歩いて善光寺に向かった。 駅からは少し距離があるのだが、途中のちょっと小高くなった場所からは、 周囲の住宅より抜きん出て大きな銅板葺き屋根の本堂が見えていて、よい目印になっていた。
 お寺に到着して朱塗りの山門を前にすると、その威容が青空に映える。 多くの観光客が記念撮影をしている。
 門から中に進むと、両側に松の木のある参道になっていて、正面が本堂だ。 妻入り、撞木造りの大きな建物である。 本堂に入って拝観料を払い、内部を見ることにする。 中陣の天井には龍が描かれ、鳴き龍になっている。 指定された場所で手をたたくと、カタカタとよく反響する。 拝観資料に「日本一の鳴き龍」とあるが、確かによく響く。
 諸仏を拝観したのち、内陣の下を回って歩く戒壇廻りを行う。 このときは、前後に人がいなかったので、筆者一人で真っ暗闇の中を壁沿いに手探りでめぐって、 鍵に触れてから戻ってきた。 戒壇廻りはご本尊と御縁を結ぶためのもので、なかなか興味深い体験だった。
 本堂内部を拝観したあとは、本堂に向かって左手にある宝物館の見学だ。 宝物館まで足を延ばす人は少ないのか、筆者一人のために係りの人が入口の鍵を開けてくれた。 木造阿弥陀三尊像などの仏像や源頼朝像などが並び、善光寺の歴史の厚みを感じさせる。
 宝物館から出てくると、少し前まで大勢の観光客が歩きまわっていた境内にほとんど 人影がなくなっていた。 どうも人の波は観光バスの出入りに左右されるようだった。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。


 山門
 本堂と同時に焼失したあと、再建されたもの。
2012/11/25撮影
 本堂
 創建当初の本堂は焼失し、現在の建物は1796年に再建されたもの。 国指定の重要文化財である。
 銅鐘(上の写真)
 1313年鋳造で、武田信玄が信州から引きずってきたと伝えられ、「引き摺りの鐘」 とも呼ばれている。
2012/11/25撮影

 ぶどう畑の中にそびえる本堂。
 紅葉した山々を背にした本堂は、遠くからでも目立つ。
 右側が正面(妻入り)で、撞木造りのT字型の構造であることがわかる。
2012/11/25撮影

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