常楽寺(鎌倉市) 2012年 12月
 常楽寺(じょうらくじ)は、鎌倉市大船にある臨済宗の寺院である。山号は粟船山(ぞくせんざん)。
 1237年の創建で、開基は北条泰時。
 蘭溪道隆が、建長寺創建前に住持となっていたことがある由緒のある寺である。
 山号の粟船山は、裏手の丘「あわふねやま」に由来するという。 また、「あわふね」が大船の地名の語源になったとも言われている。 地図で見ると、常楽寺の場所は大船駅と北鎌倉駅の中間くらいで、海から遠いが、 かってはこのあたりまで粟を積んだ船が行き来していたことがあったらしい。
 そして、木曽義仲の子、義高の塚があることでも知られている。
 筆者が訪れたのは、2012年の12月上旬の黄葉の季節。 大船駅から歩いて向かった。 バス道路から直角に曲がって参道に入るのだが、山門が正面に見える景色が落ち着いていてなかなかいい。 周囲には、古寺らしい雰囲気が漂っている。(下の写真参照)
 山門自体も、茅葺屋根の見応えのあるものだ。
 山門から先の道は、各種の樹木が左右から迫っている。 正面に仏殿が近づいてくると、左側から大イチョウの枝がせり出している。 このイチョウは、北条泰時が植えたと伝えられているらしい。 すでに黄色くなった葉は日差しを浴びて輝き、地面には落ち葉が散乱していた。 仏殿の左横には茅葺屋根の文殊堂があり、仏殿の裏手に回ると、開基の北条泰時らの墓がある。
 一通り境内を拝観したあと、次に木曽義高の墓に向かった。 いったん山門を出て裏山に通じる道を登らなければならない。 大した距離ではない。 住宅地に囲まれた雑木林の中に簡素な塚があり、誰もいなかったが、花が活けてあった。 わずか12年の生涯に思いをはせる人も少なくないようだ。
 常楽寺は、観光客の集まる北鎌倉や鎌倉中心部から離れているため、拝観客は少ないようで、 そのぶんゆっくり拝観できる。 筆者が訪れた紅葉の季節の週末でも、時折訪れる人がいる程度だった。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。


 常楽寺山門
 バス通りから参道に入ると、正面に茅葺屋根の山門が見える。
 周囲は住宅地だが、参道は木々に囲まれていて、落ち着いた佇まいをみせている。
 山門には、粟舩山(ぞくせんざん)の額が掲げられている。
2012/12/02撮影

 仏殿前にある大イチョウが色づいていて、さかんに葉を落としていた。 仏殿には、阿弥陀三尊像が安置されている。
 仏殿の裏手には、開基の北条泰時の墓がある。
2012/12/02撮影

 仏殿の左手にある文殊堂
 江戸寺時代の建築らしいが、明治になってから、同じ鎌倉にある英勝寺から移築されたもの。
2012/12/02撮影
 木曽義高(木曽義仲の子)の墓とされる塚
 常楽寺の裏山に少しばかり残された雑木林があり、 その中に石の塔がひっそりと建っている。
 同じ裏山の斜面に姫宮塚がある。 北条泰時の娘の墓と言われているが、源頼朝の娘で木曽義高の許嫁であった大姫の墓という説もあるらしい。
2012/12/02撮影

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