石山寺(滋賀県大津市) 2009年 10月
 石光山石山寺。大津市にある東寺真言宗のお寺。 1200年以上の歴史を持っている。
 訪れたのは10月下旬だったが、紅葉のピークにはまだ早く、 一部の葉が色づき始めたころだった。
 瀬田川に向かって作られた東大門を通って中に入る。 最初は平坦な参道を歩き、次に右側の階段を登ると本堂に面する広場に出る。 このあたりが石山寺の中心である。 主要な伽藍へは階段を使って行き来することになる。 その傾斜地には、珪灰石という石がむき出しになっているのだが、 植物とうまく調和しているためか、荒々しい感じは受けない。
 本堂には、紫式部が源氏物語の構想を得たという言い伝えに基づいて、 紫式部源氏の間という部屋があり、人形まで置かれている。 ほかにも平安時代以降の名だたる女流作家たちが参籠しているというから、 女性に人気のあるお寺ということになっている。 そういう目で見るせいか、お寺全体に柔らかい雰囲気が漂っている。
 多宝塔も国宝に指定されているだけあって、 大変優美である。 一層と二層の間に白く半円の部分があり、これがアクセントになっている。 多宝塔はストゥーパが原型になっていると言われるが、 この半円はストゥーパとの類似を連想させる部分である。
 このときは、写真愛好家のグループらしき人たちが来ていて、各自それぞれに 一眼レフを構えてさかんにシャッターを切っていた。 確かに、ここは撮影を楽しむにも良いところである。
 一通り境内を見終わると夕暮れ時になっていたので、 東大門の門前にある湖舟というお店に入った。 時間が遅かったせいか客は私一人だけ。 もちろん名物の志じみ釜めしを食べるためである。 ご飯を炊くため、少し待たされたが、待たされただけのことはあった。 満足してお店の外に出ると、あたりは暗くなりかけていた。
 写真は、RICOH GX200で撮影。


 左右に仁王像を配した東大門。
2009/10/22撮影

  本堂。 斜面に懸造で建てられ、屋根は檜皮葺。 紫式部源氏の間が右手に見えている。 この本堂も含めて、石山寺のどの伽藍からも柔らかな印象を受ける。
2009/10/22撮影

 1194年建立の多宝塔。 手前の石は石山寺の名前の由来となった珪灰石。
 もう少し紅葉が進めば、さらに見栄えのする景色になるのだろうが、 そのときは人も多くてゆっくり拝観できないのかもしれない。
 珪灰石がどんな鉱物なのかわからなかったので、 調べてみると、化学式はCaSiO3で、英語名はWallastoniteであった。 それなら前から知っている鉱物だったので、急に親しみがわいてきた。
2009/10/22撮影

 鎌倉時代後期に建てられた鐘楼。 檜皮葺の屋根と、年月を重ねた木材、それに白漆喰 が作りだす色合いがよいし、均整のとれた形も含めて大変優美だ。
2009/10/22撮影

 お寺の前には、瀬田川がゆったりと流れている。 琵琶湖の方角を眺めたもの。
 近江八景の一つ「石山の秋月」として古くから知られている。 境内にある月見亭からの眺めも有名だ。
 門前には、名物しじみ飯のお店が数件ある。
2009/10/22撮影

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