法輪寺(京都市) 2016年 3月
 法輪寺(ほうりんじ)は、山号を智福山と称し、京都市西京区にある真言宗の寺院である。
 寺伝では、8世紀初めに元明天皇の勅願により行基が開いたのが始まりとされるほど長い歴史を持っているが、 本堂など今ある伽藍は明治時代以降に再建されたものである。
 本尊は虚空蔵菩薩で、日本三大虚空蔵の一つに数えられるが、秘仏である。
 虚空蔵菩薩は、菩薩の中でも観音菩薩や地蔵菩薩ほどには身近な存在ではない。 調べてみると、もともとはサンスクリット語のアカーシャ・ガルバを漢訳したもので、広大無辺の宇宙のような福徳と知恵を持った菩薩という意味らしい。
 場所は嵐山の中腹にあり、渡月橋の近くである。
 私が訪れたのは、桜の季節には少し早い3月中旬のことで、嵐電の嵐山駅から渡月橋を渡って法輪寺に向かった。 渡月橋周辺は、季節を問わず多数の観光客が押し寄せ、落ち着いた雰囲気の場所とは言い難いが、 嵐山を背景にした渡月橋を前にすると、誰でも写真を撮りたくなる景勝地であるのも事実だ。 橋の北側からカメラを構えると、対岸の法輪寺の多宝塔が自然にファインダーに入ってしまうから、 法輪寺のことを知らない人でもお寺があることに気づくはずである。
 橋を渡って法輪寺を目指して歩くと、観光客の数は減り、十三詣りの子供連れの家族の姿がちらほら目に入るようになる。 つまり、法輪寺が京都で広く親しまれているのは、十三詣りのためらしい。
 十三詣りとは十三歳の少年少女がお参りする行事で、主に関西で盛んである。 百年ほど前から始まったとされる十三詣りが、関東でも一般的な行事となるのか興味のあるところである。
 境内で見回して、目につく堂宇といえば、本堂と多宝塔くらいのものだ。 ただし、高台にあるので眺めはいい。 境内の一角にある展望台からは、桂川と渡月橋を眼下に嵯峨野の一帯が見渡せる。
 付け加えると、境内には電気・電波を守護する電電宮(でんでんぐう)という鎮守社があるのが珍しい。 電気関係の事業者から信仰を集めているようだ。

 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。


 桂川にかかる渡月橋北詰から眺めると、対岸の嵐山斜面中腹に法輪寺の多宝塔の三角の屋根が見える。
 渡月橋は京都を代表する観光地で、いつも人で溢れているが、法輪寺まで足を延ばす人はその一部だ。
2016/03/19撮影

 本堂
 春の十三詣り(3月13日〜5月13日)の期間中だったので、子供連れの参拝客が次々にやってきて、本堂前で記念撮影をしていた。
2016/03/19撮影

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