法然院(京都市) 2012年 6月
 法然院(ほうねんいん)は、京都市左京区にある単立の寺院で、 正式には、善気山法然院萬無教寺(ぜんきさんほうねんいんまんむきょうじ)である。
 筆者が訪れたのは6月。 哲学の道を歩いていて、時間があったので立ち寄った。 杉の木や広葉樹が頭上を覆う薄暗い参道入口には、「圓光大師御旧跡」と書かれた石の塔が建っている。 石段の参道を登って、途中で曲がってから見えくる山門が独特の景観だ。 茅葺屋根の上には、草が生えていて、鬱蒼と茂る周りの樹木と同化しているように見えるからだ。 山門を通って中に入っても、人はまばらで、紅葉の時期に大混雑するというのが信じられないような 静けさだった。
 もともとこの地には、法然が弟子たちと六時礼讃を行っていた念仏道場があったとされている。 大寺院に比べれば広くない静かな環境は、法然の飾らない人柄をしのぶ場所として相応しいように思える。
 筆者が訪れた2012年6月には、講堂を利用して絵(洋画)の個展が開かれていた。 古寺と洋画の組み合わせに意外な感じを受けたものである。 その後、法然院のホームページを閲覧して、現住職の「寺は社会に開かれた場として、 芸術活動などに積極的に会場を提供する。」という意図に基づいていることを知って、 なるほどと納得した次第である。 注目すべき活動と思う。
 法然院では拝観料を取らないというのも、同じ考え方から出ているのかもしれない。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。


 茅葺屋根の山門
 屋根には草が生え、周りの自然に融け込んでいる。
2012/6/21撮影

 山門をくぐって中に入ると、道の両側には白沙段と呼ばれる盛り砂が現れる。 水を表現しているという。
 
2012/6/21撮影

 本堂
 普通、本堂の前は参拝客が集まったり行き来できるように、ある程度の広さが確保 されているものだが、ここでは、そういう広場のようなものはない。 建物も含めて大寺院にありがちな威厳とか権威を感じさせないので、本堂の前まで来ても 一般の民家を訪れたような感じを受ける。
2012/6/21撮影

 池を前にして建つ経蔵
 すべてが自然の中に融け込んでいる。
2012/6/21撮影

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