法界寺(京都市) 2014年 12月
 法界寺(ほうかいじ)は、京都市伏見区日野にある真言宗醍醐寺派の別格本山の寺院で、 別名、日野薬師としても知られる。 山号は東光山である。
 同じ真言宗の醍醐寺の南方約2kmに位置している。 法界寺は、平安時代末期の11世紀に日野資業(すけなり)が薬師堂を建てたことに始まるという。
 日野は鴨長明の隠棲場所であり、親鸞の生誕地としても知られる。
 筆者が訪れたのは季節が12月初めで、時間が夕方ということもあってか、参拝客は境内から出てくる一組を見かけただけだった。 直前に拝観した醍醐寺がそこそこの数の参拝者や観光客がいたのと対照的である。 寺院の規模、知名度、足の便など違いすぎると言ってしまえばそれまでだが。
 山門の前に立つと、古寺という名がふさわしい佇まいである。 周辺に人影がなく、風化した土塀や少々雑然とした境内からそういう印象を受ける。
 境内に入って、誰もいない寺務所でしばらく待つとお寺の方が出てきた。 ここで拝観料を納め、まずは阿弥陀堂を拝観。 阿弥陀堂は最も目立つ堂宇で、檜皮葺の屋根を持つ。 鎌倉時代の建物で、国宝に指定されている。 靴を脱いで内部に入ると、係の方が部屋の電気をつけてくれた。 まず目に飛び込んでくるのは、国宝の阿弥陀如来坐像。 丈六像で、像高が2.8mだからかなり大きいが、穏やかな表情である。 典型的な定朝様の阿弥陀像で11世紀末ごろの作とされる。 なるほど平等院にある定朝作の阿弥陀如来坐像と形も表情も似ている。 長押の上には、飛天像などが描かれていて、これも貴重なものとされる。
 次に、阿弥陀堂から出て、隣の薬師堂に向かう。 こちらが本堂である。 本尊の薬師如来立像(秘仏)は乳薬師として信仰されている。
 筆者が境内にいる間、ほかに訪問者はいなかった様子で、静けさが保たれたままだった。 静まり返った境内で、ひとときを過ごせるというのは贅沢なことである。 だが、視点を変えてお寺の立場からすると、拝観者が少ないのは、拝観料収入もそれだけ少ないわけで、 境内の維持管理は大変なのかもしれない。
 写真は、CANON 5D Mark U・EF-24-105mm F4L IS USMで撮影。

 夕日の当たる山門
 門の奥に見えているのは阿弥陀堂
2014/12/6撮影

 人影のない境内
 左が阿弥陀堂、右奥が薬師堂
2014/12/6撮影

 正面から見た国宝の阿弥陀堂
 裳階のついた檜皮葺の屋根(宝形造)を持つ鎌倉時代の建物
 この阿弥陀堂内に、国宝の阿弥陀如来坐像が安置されている。
 右手前に少し見える屋根は薬師堂
2014/12/6撮影

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