法華経寺(千葉県市川市) 2014年 6月
 法華経寺(ほけきょうじ)は日蓮宗の大本山で、山号は正中山である。
 鎌倉時代の13世紀に創建され、日蓮ゆかりの寺として多くの文化財を有しているという。
 境内には古い建造物も多いが、中でも五重塔が有名だ。 なにしろ、関東地方に残る江戸時代以前の五重塔は四基しかない。 そのうちの一つが法華経寺の五重塔(1622年建立)なのである。
 いつかは訪れたいと思っていながら、なかなか機会がなかった。 筆者が住む杉並区からは、東京を横切らなければならず、 千葉方面はなんとなく心理的に遠いという感じがしてしまうためだろうか。
 2014年6月に近くまで行く用事があったので、寄り道して法華経寺を拝観した。
 最寄りの駅は京成中山である。 駅を出て踏切を渡れば、まっすぐで登り勾配気味の参道があり、その先に総門と山門が見通せる。
 山門までは商店が軒を並べている賑やかな通りだが、山門から中に入ると雰囲気ががらりと変わり、 緑濃い桜の並木道になる。 道の両側には法華経寺の塔頭が立ち並んでいる。
 参道を歩いて終わりに近づくと、法華経寺のシンボルである五重塔が目に入ってくるという仕掛けになっている。
 意図的にそうしたのではないだろうが、駅から程よい距離の参道があり、 しかもこのように変化に富んだ景色を味わいながら歩けるのは、法華経寺の特色の一つだと思う。
 境内に入って見回すと、まず目につくのはこけら葺き屋根の大きな祖師堂だ。 屋根があまり見慣れない形(比翼入母屋造り)をしている。 ほかにもいろんな堂宇が、広い境内に点在している。
 気になる五重塔は、その形と大きさといい、赤く塗られた色合いといい、池上本門寺の五重塔を連想させる。 近くには大仏があり、奥に進むと、荒行堂、法華堂(室町時代の建立)、刹堂などたくさんの堂宇があり、 歴史を感じさせる境内だ。 この日は初夏の日差しが強くて散策に向いてはいなかったが、木陰が多い境内はわりと過ごしやすかった。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。

 京成中山駅を出て踏切を渡ると、正面に参道総門(黒門)を通して法華経寺の山門(仁王門)が見える。
2014/ 6/1撮影

 参道の終わり近くまで来ると、五重塔が現れる。
 朱塗りの五重塔は1622年の建立。 外観は一見して池上本門寺の五重塔(1608年建立)と似ている、 という印象を受ける。 ただし、内部構造は異なるそうだ。
2014/ 6/1撮影

 広い境内を見渡すと、まず大きな祖師堂が目に入る。
 屋根は、比翼入母屋造りという珍しい形でこけら葺きである。
 写真の左端に見えるのは妙見堂。
 祖師堂の背後に、屋根の一部が見えているのが、境内でもっとも古い建築物の法華堂(13世紀、室町時代)。
2014/ 6/1撮影

 境内の奥まったところにある宝殿門の上には、太鼓が置かれている。
2014/ 6/1撮影

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