東本願寺(京都市) 2010年 11月
 真宗大谷派の本山である。 正式には真宗本廟という。
 筆者は数回東本願寺を拝観している。 というのも、京都駅から近いので、京都駅で少し時間があるときに、 散歩がてらに歩けるからだ。 境内に入っていつも感じるのは、親鸞を祀る御影堂(ごえいどう)の巨大さである。 世界最大級の木造建築と言われるだけのことはある。 その隣にある阿弥陀堂も大きい。 いずれも明治時代になってから再建されたものだが、明治時代にこれだけの 木造建築を作れるだけの財力があったということにも感心させられる。
 靴を脱いで、御影堂の中に入ってみると、畳敷きの内部の広さも圧倒的だ。
 ところで、真宗大谷派では、本願寺第八世蓮如の残した法語のことを 「御文(おふみ)」といい、 これが上方落語の「お文さん」の中で使われているのをどれだけの人が知っているのだろうか。
 実は、筆者がこの落語を聞いたのは、わりと最近のこと(2011年)で、JALの機内サービスによってである。
 国内線の機内で落語を聞くのは時間つぶしにちょうどいいし、古典落語の勉強の機会にもなる。 「お文さん」もその一つで、これがきっかけで「御文」のことを知った。
 後日(2014年1月)、NHKの番組「落語でブッダ」で「お文さん」が取り上げられていた。 その中で、宗教哲学者・釈徹宗の解説があり、落語の舞台になった昔の大阪船場の社会の一面を知ることができ、 興味深かった。
 なお、西本願寺を本山とする本願寺派では、同じ法語を「御文章(ごぶんしょう)」と呼ぶようだ。

 2012年には、東本願寺の飛地境内地にある渉成園(しょうせいえん)を見学した。 入口で500円以上の参観者協力寄付金を納めると、「渉成園ガイドブック」を渡される。 A4判のりっぱな冊子で、採算は度外視なのかもしれない。 カラーで渉成園が紹介されていて、これだけで全貌がわかってしまう。
 園内に入ると、京都駅の近くにありながら約一万坪もの広大な日本庭園があることに驚く。 大きな池(印月池(いんげつち))があり、いくつかの和風建築が点在している。 もともとは徳川家光から寄進された土地に石川丈山が作庭した庭園だという。 ただし、当初の建物は火災で焼失し、現在あるのは明治期以降に再建された建物だ。
 これだけ広い庭園でありながら、京都タワーはじめ周囲の高層ビルが木立の中から頭を出しているのは、 景観上残念ではある。
 しかし、一見の価値のある庭園である。
 写真は、RICOH GX200およびPENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。


 噴水越しに見た、1911年再建の御影堂門
 この門も巨大で、迫力がある。 最近、修復が終わったばかりなので、いっそうきらびやかになったようだ。
2016/3/18撮影

 御影堂門の前の通りには、竹内栖鳳デザインの噴水があり、秋には周りの木々が紅葉する。
 お寺と噴水という組み合わせは、日本ではあまり見かけない。
2010/11/17撮影

 世界最大規模の木造建築と言われる御影堂。 特に横幅の広さが目につく。 裳階(もこし)があるため二層に見えるが、実際は単層である。
 左奥の建物は、修復作業を終えた阿弥陀堂。
 最近まで行われていた修復作業中は、大きな素屋根に覆われていた。
2016/3/18撮影

 渉成園内の中にある印月池と漱沈居(そうちんきょ)
 渉成園は東本願寺の飛地境内地で、東本願寺前の烏丸通から東に少し離れている。 明治時代に琵琶湖疏水が完成してからは、その疏水を蹴上から分けて水を引いているという。 そのため、琵琶湖に生息する魚介類も混じっているらしい。
 訪れたのは2012年の6月で、池には睡蓮の花が咲いていた。 あいにくこの日は雨で、ほかに見学者を見かけなかった。
2012/6/21撮影

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