豪徳寺(東京都世田谷区) 2015年 4月
豪徳寺(ごうとくじ)は曹洞宗の寺院で、東京の世田谷区にある。
山号は大谿山(だいけいざん)。
1480年に、世田谷城主だった吉良政忠が弘徳院と称する庵を結んだのが寺の始まりとされる。
最初は臨済宗の寺であったが、16世紀に曹洞宗に変わったそうだ。
1633年には、彦根藩主の井伊家の菩提寺になり、豪徳寺という寺号は、2代目藩主・井伊直孝の戒名から取られている。
現在では、小田急線の駅名として、また一帯の地名としても知られている。
ただ正式な地名として採用されたのは、意外に新しく1960年代のことらしい。
筆者が豪徳寺を訪れたのは、2015年の4月で、桜の季節である。
小田急線の豪徳寺駅から商店街を抜けて歩くこと約10分で豪徳寺だった。
山門を通って境内に入ると、桜などの木々の間から仏殿と三重塔が目に入る。
もちろん桜の時期だったので桜の花が目立つが、桜一色というほど桜が多いわけでもない。
桜見物の人も多くなく、ところどころに散策している人がいる程度だ。
静かな環境で桜の花を楽しみたい人には、いい場所のようである。
仏殿は1677年建立といわれ、いかにも歴史を感じるたたずまいだ。
三重塔は、2006年に建てられた新しい塔だが、なかなかに風格が感じられる。
境内の一角に、松福庵(招福庵)という小ぶりな堂があり、その横に数えきれないほどの招き猫が奉納されている。
伝説では、井伊直孝が通りかかかった際に猫に招き入れられたことで、雷雨を避けられ、和尚とも親しくなり、
豪徳寺が井伊家の菩提寺となったという。
このため、招き猫発祥の地ともいわれている。
豪徳寺の名前や響き、曹洞宗という宗派から質実剛健といったイメージが連想されるが、
この松福庵の一角には、なごやかな空気がただよっている。
写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。