護国寺(東京都文京区) 2012年 10月
 護国寺(ごこくじ)は東京都文京区にある真言宗豊山派大本山である。 山号は神齢山。
 17世紀に徳川5代将軍綱吉が生母桂昌院の願いにより創建した寺で、 本尊は如意輪観音である。
 筆者が訪れたのは2012年の10月。 最寄りの地下鉄護国寺駅から地上に出ると、仁王門は眼の前である。 風格のある仁王門をくぐって進むと、参道を挟んで1対の手水舎があり、中に唐銅蓮葉形手洗水盤が置かれている。 石段を登り、上老門を通ると正面に本堂が現れる。 元禄期の建物で、堂々としていて銅板屋根の緑色がきれいだ。 まずは本堂に参拝し、境内を一巡りしてみる。 江戸時代以前の建造物として、仁王門、薬師堂、太子堂、鐘楼、月光殿などがあり、けっこう見応えがある。 23区内によくもこれだけまとまって昔の建造物が残ったものと思う。 また、富士塚や庚申塔など歴史好きには興味深い史跡もある。
 境内では江戸時代の面影を感じるのに対し、 山門前を通る上忍通りなどには門前町としての吊残は希薄なようだ。 例えば、大きな寺院の周辺でみかける、仏具屋や参拝客目当ての飲食店が並んでいたりする光景は見当たらない。 しかし、大通りから一歩入った音羽のあたりには、自動車の通れない階段のある坂道や 昔ながらの住宅が今でも点在していて、ビルの建ち並ぶ表通りとは別の表情がある。
 拝観後のささやかな楽しみとしては、山門から少し歩いた場所にある有吊な和菓子屋さんの豆大福がある。
 写真は、RICOH GX200で撮影。

 上忍通りに面して建つ仁王門
 この日は境内で茶会があり、多くの和朊姿の女性が歩いていた。
 同じ上忍通りに面してもう一つの門、惣門がある。(上の写真)
2012/10/21撮影

 水屋
 参道を挟んで2棟の水屋があり、広い水面に周りの景色が写っている。
 桂昌院より寄進された唐銅蓮葉形手洗水盤と呼ばれる手洗水盤で、改修復元したもの、 と説明板にある。
2012/10/21撮影

 17世紀末、元禄時代に建てられた本堂(観音堂)。
 空が広々としていて、高層ビルが視野に入らないのがいい。
 向かって左手(写真の外)には、園城寺(三井寺、滋賀県)から移築した月光殿という建物がある。
2012/10/21撮影

 多宝塔
 昭和期の建造物で、滋賀県の石山寺の多宝塔(12世紀建立)を模範にしたそうだ。
2012/10/21撮影
 薬師堂
 一切経堂だった元禄時代の建物を移築し、薬師堂にしたとのこと。
2012/10/21撮影
 太子堂(写真上)
 境内には音羽富士と呼ばれる富士塚がある。 寺院の境内にあるのは珍しいと言われる。
 富士道と彫られた石碑を見て石橋を渡り、坂を登ると頂だ。 そこには小さな祠があるが、木々に囲まれていて展望はない。
2012/10/21撮影

 薬師堂の裏にあるりっぱな庚申塔。
 江戸時代には庚申信仰が盛んだったことを物語っている。
 3匹の猿が塔を支える構造になっている。 猿は申(さる)と関連するため、三猿がまつられたようだ。
 塔の脇には文京区教育委員会の説明板があり、「全国的にもその例を見ない形式《とある。
2012/10/25撮影

[TOP]