岩殿寺(神奈川県逗子市) 2015年 6月
 岩殿寺(がんでんじ)は逗子市にある曹洞宗の寺院で、山号は海雲山で、坂東三十三箇所観音霊場の第二番札所となっている。
 場所は、逗子駅から北西方向、直線距離にして1kmほど離れている。
 現在の行政区分では逗子市になるが、鎌倉時代の「鎌倉」は逗子市小坪のあたりまでを含んでいたようなので、 岩殿寺も鎌倉の寺と認識されていたと思われる。
 寺伝によると創建は奈良時代にまでさかのぼるといわれ、鎌倉時代には源頼朝や源実朝が参詣に訪れている。
 筆者は、2015年に逗子駅から歩いて訪れた。 ぶらぶら歩いて20分から30分くらいの距離。 お寺に近づくと表示が出てくるが、逗子市は鎌倉市のように統一された名所の案内板を各所に設置していないので、 外来者に対してあまり親切ではない。
 岩殿寺は、鎌倉の多くの寺院と同様、谷戸の奥にある。 境内の下まで住宅地が広がっているが、山門を入れば山の中といった環境になる。 山門を入って、本堂を左手に見るあたりまでは坂も急ではないが、その奥にある観音堂は急な石段を登った上にある。
 6月に拝観したときは、ところどころでアジサイの花が出迎えてくれた。 アジサイで有名な鎌倉の明月院や長谷寺などと比べれば、規模の点では比較にならないないが、 岩殿寺のアジサイは、観音堂への石段の両側などにあり、なかなかに風情がある。
 石段の上部から振り返ると、市街地の向こうに丘陵地に挟まれて海が垣間見える。 しかし、視界は狭く、岩殿寺が谷戸の奥の狭まった場所に開かれていることに気づかされる。
 観音堂は、深い緑に囲まれている。 堂の裏手には、奥の院があり、脇には泉鏡花が寄進したという池がある。 休憩するにも静かでいい場所だ。
 背後の山に続く道をたどり、さらに奥に進むと、長寿観音像が現れる。
 ここにもアジサイがあり、遠くに富士山を望むことができる。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。


 山門とアジサイ
 山門の前には、泉鏡花の句碑が置かれている。 泉鏡花は、逗子に滞在していたことがあり、たびたび岩殿寺を訪れたそうだ。
2012/06/28撮影

 観音堂
 建物背後の岩窟に奥の院がある。 また、鏡花の池が右手の茂みの中にある。
 写真に見える参拝者の一行は、坂東三十三箇所観音霊場を巡っていたのかもしれない。
2012/03/15撮影

 観音堂の裏手の道を登り、奥に進むと、長寿観音像が現れる。(写真上)
 長寿観音像の脇から、アジサイの花を前景にして富士山が見える。(写真左)
2012/06/28撮影

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