富貴寺(大分県豊後高田市) 2014年 3月
 富貴寺(ふきじ)は、大分県豊後高田市にある天台宗の寺院で、 山号は蓮華山。
 開基は、8世紀に仁聞(にんもん)によると伝えられている。 仁聞は半ば伝説上の人物だが、国東半島一帯に28の寺院を開いたとされている。
 筆者が訪れたのは3月末。 早朝に羽田をたち、北九州空港からレンタカーで国東半島を目指した。 この日は天気があまり芳しくなく、午後から雨になるとの予報だったので、とりあえず 富貴寺を拝観することにした。 富貴寺は雨天の場合、国宝の大堂内部に入れないからだ。 幸い、お寺の前の駐車場に着いた時は曇り空のままで、拝観が可能だった。 さっそく拝観料を払って、石段を登る。 大堂(阿弥陀堂)は、林の中の空間にぽつんと一棟だけ建っていた。 佇まいが、福島県の白水阿弥陀堂を連想させる。 宝形造の屋根といい、雰囲気が似ている。
 大堂の内部は板敷で、中央に阿弥陀如来坐像(平安時代)が安置されている。 伏し目がちでふくよかな顔立ちである。 当初は、板壁や柱を含めて彩色されていたが、今は一部に華麗な彩色の面影が残っているだけだ。 しかしそれも長い年月を感じさせて味わい深い。
 外に出て、周囲を歩いてみると、石塔や石像、石灯篭など石造物が点在している。 なるほど、石造物の多い国東半島のお寺らしい光景である。
 仁王門まで戻って、改めてお寺の回りを見回すと、いかにもひなびた山里である。 国東半島の多くの寺院が消えていったことを思うと、かっての面影を伝えている富貴寺の存在は貴重だ。
 写真は、CANON 5D Mark U・EF-24-105mm F4L IS USMで撮影。


 古びた石段の先に山門(仁王門)がある。
 けっこう年月が経っているようにも見えるが、 1970年代に作られているからまだ新しい門だ。
 大堂は山門のさらに上にある。


 仁王門の中にある、素朴な石造の仁王像。 江戸時代の作らしい。

2014/3/29撮影

 国宝の大堂(阿弥陀堂)
 平安時代の和様の建築として貴重な存在で、宝形造の屋根を持つ端正な形のお堂だ。 屋根瓦は行基葺きである。
国東塔と呼ばれるこの地域独特の石塔など、境内に多くの石の塔が見られる。
2014/3/29撮影

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