英勝寺(鎌倉市) 2012年 6月
 英勝寺(えいしょうじ)は浄土宗の寺で、山号は東光山(とうこうざん)である。
 現在、鎌倉で唯一の尼寺だそうだ。
 寺の創建は、太田道灌の子孫で徳川家康の側室であった「お梶」の方(英勝院)によって なされている。
 筆者が訪れたのは、2012年6月中旬でアジサイの季節だった。 鎌倉駅から北に向かって歩くこと10数分。 横須賀線が道路を挟んで走っている。 りっぱな惣門があるが、これは閉まっていて、拝観者は少し先の通用門のような 門から入る。
 拝観料を払い、拝観順路に従って境内を歩いてみる。 この時期、アジサイで有名な寺院は大変な混雑だが、ここには拝観者がほとんどいない。 鐘楼、山門、仏殿、祠堂、唐門と見て回る。 いずれの建物も屋根に反りがない。 これは英勝寺共通の特徴らしい。 残念なことは、仏殿は修復作業中で建物全体に覆いが掛けられていたことだ。 修復作業が終わったら、もう一度拝観に来ることにしよう。
 仏殿から少し上ると、竹林や書院などがあり各種の植物を見ながら散策できる。 ちょっと雑然とした感じを受けないでもないが、観光客の大勢集まる寺院とは違って静かな環境が 保たれているのは好ましい。

 その後、翌年の2013年1月にもう一度英勝寺を訪れたら、仏殿の覆いがはずされていた。 このときに撮った仏殿の写真を追加しておく。 (2013/1/5記)
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMおよび CANON 5D Mark U・EF-24-105mm F4L IS USMで撮影。


 惣門
 この門のそばに鎌倉市が建てた説明板があり、「かっては武家屋敷のような境内でした」 という記述がある。 たしかにこの門構えからして、武家屋敷のような雰囲気が感じられる。
2012/6/13撮影
 山門
 関東大震災で倒壊した山門が元の場所に復興されたのは2011年である。
 この山門の屋根も仏殿(左側に見える工事用の緑色幕の中)と同様に屋根に反りが ない。これは英勝寺の建物に共通した特徴とのこと。
 屋根に反りがないことは、「武家屋敷のような境内」の印象につながっているのかもしれない。 なかなか堂々とした山門である。 山門の鬼板には、徳川家の三つ葉葵紋が輝いている。
2012/6/13撮影
 仏殿
 1636年に英勝院によって建てられ、後に現在の建物に改築されたのだろうと言われている。
 一見、二層に見えるのは裳階(もこし)付きのためである。 裳階を下から見上げると、蟇股には精緻な彫りが施されているのがわかる。
 堂内には、きらびやかに荘厳された阿弥陀三尊像が安置されていて、 正面のガラスの窓を開けて、拝観する仕組みになっている。
2013/1/04撮影

 鐘楼(写真左)
 袴腰鐘楼は鎌倉では珍しく、17世紀に梵鐘と同時期に作られたと言われる。
 山門近くの崖には横穴が掘られ、中に三霊社権現が祀られている。 洞内は暗闇で、入った直後は目が慣れず、なにがあるのがわからなかった。
2012/6/13撮影
 庫裡のそばの地面には仏像(よくみるとこの仏像の下部が欠けている)が置かれ、 花が供えられていた。 その上に、ホタルブクロの花が重み(?)で仏像前に倒れかかっていた。
 赤いアジサイの花が満開だった。 うしろは庫裡。
2012/6/13撮影

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