永観堂(京都市) 2011年 11月
 正式には、禅林寺(ぜんりんじ)と言い、山号を聖衆来迎山(しょうじゅらいごうさん)と称する 浄土宗西山禅林寺派の総本山である。
 もともとは9世紀に真言宗の寺として開かれたが、第7代住持の永観(ようかん)が行った慈善事業 により永観の名が広く人々に親しまれ、いつしか永観堂(えいかんどう)と呼ばれるようになったという。 浄土宗に寺に変わったのは、第12代住持静遍のころと言われる。
 永観堂は紅葉の名所として有名である。 ちょうど11月に奈良に旅行する機会があったので、東京に帰る前に京都に寄って ライトアップされた紅葉を見ることにした。 17時半の開門に合わせて、南禅寺の方角からぶらぶら歩いて永観堂の総門まで来たら、 すでに大勢の人が集まっていた。 日曜日のせいかもしれないが、さすがに紅葉の名所だけのことはある。 行列の最後尾に並んで、拝観券を購入して境内に入ったら、やはり人の列。
 この年(2011年)の紅葉は遅れ気味のようで、色づいている葉もあるが、まだ青い葉も多かった。 しかし、ライトアップされた境内は、昼とは違った幻想的な様相を呈するので、やはり一見の価値はある。
 順路に従って、まず御影堂を拝観する。 そして次が隣の阿弥陀堂にある本尊「みかえり阿弥陀」の拝観だ。 こちらも行列ができている。 まず正面からだが、お顔は見えない。 そして右横手にまわると初めて阿弥陀像のお顔が見える仕組みだ。 大変に珍しい阿弥陀像として名高い。 そのいわれについては、拝観券と一緒にもらえるパンフレットに説明されている。 拝観券にもこの「みかえり阿弥陀」のシルエットが使われているくらいだから、永観堂のシンボルといえる。
 阿弥陀堂を出ると、雅楽の調べが聞こえてくる。 演奏は放生池にかかる橋の上で行われていた。
 京都の古寺の紅葉は、目で見るだけでなく、耳でも楽しむ仕掛けが用意されているのだった。
 昼にゆっくりと境内を歩きたいと思って境内を後にした。

 それが実現したのは翌年の6月。 梅雨の時期で、雨模様の日だったので、拝観者をほどんど見かけなかった。 「みかえり阿弥陀」の拝観時も堂内にいたのは筆者一人だけで、紅葉の夜間ライトアップのときの喧騒がうそのようだった。
 昼間、境内を歩いて見ると、カエデの木の多いのがよくわかり、なるほど紅葉の名所だけのことはあると納得した。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDM・DA50-200mmF4-5.6ED WRで撮影。


 阿弥陀堂にもたくさんの人が詰めかけていた。 もちろんお目当ては、「みかえり阿弥陀」と呼ばれる本尊の阿弥陀如来像である。
2011/11/20撮影

 放生池の弁天島にかかる橋の上では雅楽の演奏が行われ、 雅な音色が境内に流れていた。 この写真を撮った極楽橋付近は、演奏を見ようとする人で大変な混雑だった。
2011/11/20撮影

 ライトアップされた多宝塔。
2011/11/20撮影

 総門前から見た永観堂
 以下の写真は2012年6月に撮影した。
2012/6/21撮影

 昼間見る阿弥陀堂は、夜とはまったく違う雰囲気だ。
 「みかえり阿弥陀」の拝観の際してもこちらからは入れず、大玄関から渡り廊下を使って 御影堂を経由して阿弥陀堂まで来ることになる。
2012/6/21撮影

 境内には、カエデがよく目につく。 というよりほとんどの木がカエデのような感じを受ける。 秋にはこれらの葉が色づくのだから、紅葉が見事なわけである。
2012/6/21撮影

 主要伽藍は渡り廊下で結ばれている。
 開山堂は斜面にあるため、御影堂からの廊下はこのように湾曲していて階段になっている。
 臥龍廊と名付けられている。
2012/6/21撮影

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