荏柄天神社(鎌倉市) 2013年 3月
 荏柄天神社(えがらてんじんじゃ)は二階堂にあり、菅原道真を祀っている。
 創建は鎌倉時代以前に遡るといわれるが、源頼朝が鎌倉幕府の鬼門の方角(北東)の鎮守社として位置付けて以降、歴代将軍に篤く崇敬されてきた歴史を持つ。
 荏柄という名前の由来は、古い地名の「荏草郷」の”えがや”が転じて”えがら”になったと考えられるそうだ。
 太宰府天満宮、北野天満宮とならんで、日本三天神に数えられているけれど、荏柄天神社の規模は大きいとは言えない。 だが、神社から金沢街道まで南南西を向いてまっすぐに伸びる参道は300m近くもある。 今は両側のほとんどが住宅地になっていて、大して風情があるようには思えないが、これだけの長さの参道があるのは往時の名残なのかもしれない。
 神社は山の斜面の中腹にあるため、急な石段を登って神門に達する。 正面には鮮やかな朱色に彩色された本殿があり、周りには菅原道真を祀る天神社らしく梅の木が植えられている。 右手奥には樹齢900年と言われる大イチョウがあり、風格と存在感を見せている。
 歴史的な観点から注目すべき建造物は本殿で、現在の本殿は、江戸時代初期の1624年に鶴岡八幡宮の旧本殿を移築したものという。 その後に改修されているとはいえ、鎌倉に現存する貴重な中世の建築とされている。
 神社の場所が源頼朝の墓や鎌倉宮とも近いので、筆者も鎌倉散策の折にたびたび立ち寄っている。 ここで紹介する写真は、2013年3月以降に撮影したものから選んでいる。
 写真は、PENTAX K-5/KP・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMおよび CANON 5D Mark U・EF-24-105mm F4L IS USMで撮影。


 参道の途中では、2本のビャクシンが上空で交差するという珍しい光景が見られる。
 この参道は金沢街道からまっすぐに延びていて、途中で鎌倉宮の参道とX字のように交差しているのだ。
 正面奥の石段の上に見えているのが、荏柄天神社の神門。
2013/3/10撮影

 本殿と梅の花(写真上)
 菅原道真を祭神とする神社であれば、梅の花は欠かせない。 もちろん、神紋には梅の花があしらわれている。
 本殿は1624年に鶴岡八幡宮から移築されたもの。 重要文化財に指定されていて、鎌倉で最も古い建築物である。
2019/2/24撮影

 大イチョウ
 樹齢900年といわれる。
2013/3/31撮影

 絵筆塚(写真上)
 漫画家の故清水崑氏をしのんで、1989年に建てられた。 この塚の下には、清水崑氏による「かっぱ筆塚」もある。
2013/3/31撮影

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