大念佛寺(大阪市) 2011年 10月
 山号は大源山(だいげんざん)。 融通念仏宗の総本山である。
 日本の仏教界は、大きく十三宗派に分けられるとされ、融通念仏宗もその一つに数えられている。 しかし、東京で生まれ育った筆者には、融通念仏宗はあまりなじみがなかった。 筆者が仏教について詳しくないこともあるが、融通念仏宗の信者は、大阪、奈良周辺に集まっているからで、 東日本では知名度が高いとはいえない。
 だが、融通念仏宗の歴史は大変古いことを最近知った。 良忍が開創したのは1127年といわれるから、平安時代末のことで、多くの鎌倉仏教が興る以前なのである。
 2011年秋、大阪に出かけた折に、その融通念仏宗の総本山である大念佛寺を訪ねてみた。 JR平野駅から歩いて5分ほどだろうか。 まわりは、家々の密集した市街地である。 山門をくぐって境内に入ると、まず大きな本堂が目に入る。 1938年に再建された建物である。 大阪府下最大の木造建築だそうで、確かにりっぱな建物だ。 ほかにも見回すと毘沙門堂、鐘楼、観音堂など多くの伽藍が配置されている。
 その中で目を引くのは、経堂に安置されている良忍上人像である。 体をひねって歌うような姿勢で知られる像である。 普通にお寺で見られる高僧の像とはずいぶん違う。 大原声明を集大成した良忍に相応しい姿勢なのだろう。
 拝観した日は、特に行事が行われていなかったせいか、参詣者もほとんどなく、 他の寺院の日常風景と違った様子はなかった。
 融通念仏宗の特徴はその独特の行事に現れているらしいので、百万遍会大数珠繰りとか 御回在(ごかいざい)、万部おねりなどの行事に参加するなり見たりしない限り、 融通念仏宗を多少なりとも理解したことにはならないに違いない。 それは次の機会にゆずるとして、今回は2011年10月に撮影した数枚の境内の写真を紹介しておく。
 写真は、RICOH GX200で撮影。


 JR平野駅から商店街を抜けて、歩いて5分ほどのところにある。 江戸時代前期に建立された山門の奥に見えるのが本堂の屋根。
2011/10/13撮影

 左は、山門から見た本堂。
 本堂正面脇には、ネパールより送られたマニ車が置かれている。 チベット仏教では、回転させると、回数分のお経を唱えたのと同じ功徳があるとされる。
2011/10/13撮影

 本堂
 1928年に再建された総欅造り、銅板葺きの大阪府最大の木造建築とのこと。
 拝観したときは、イチョウの木に銀杏の実が鈴なりになっていて、一部は地面に落ち始めていた。 この写真に写っているのがそのイチョウの葉と実。 経堂には良忍上人の像がある。
2011/10/13撮影

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