長勝寺(鎌倉市) 2014年 10月
 長勝寺(ちょうしょうじ)は山号を石井山(せきせいざん)と称する日蓮宗の寺院である。 材木座にあり、近くを横須賀線の線路が通っている。
 鎌倉の南東部一帯には、日蓮宗の寺院が多く集まっていて、そのうちの一つが長勝寺である。
 開山は日蓮、開基は石井長勝で、13世紀に創建されたと言われる日蓮ゆかりの寺院だが、 創建初期の詳細ははっきりしないようである。
 周辺は静かな住宅地で、観光客が押し寄せるような地域ではない。 筆者が訪れたときも、境内の落ち葉を掃いている人がいるだけだった。
 山門をくぐり、正面に本堂(帝釈堂)を見ながら桜並木の参道をたどると、左手に法華堂が一段高いところに建っている。 室町時代末期に作られたと推定される建物だ。
 本堂前の広場には、がっしりとした体躯の日蓮像が建ち、その周りを囲むように四天王像が置かれている。
 本堂に向かって右手には、四阿風の屋根掛けがされている水行場がある。 水行が行われる毎年2月11日は賑やかなのだろうが、筆者が訪れたときは、人気がなくがらんとしていた。
 長勝寺境内を一通り歩いたのち、名越切通し(なごえきりどおし)まで行ってみることにした。 この名越切通しは鎌倉七口の一つで、長勝寺からそう遠くない。 横須賀線の線路そばの道を東に向かって歩くと、途中に日蓮乞水(にちれんこいみず)という古井戸があり、 石碑が建っている。 日蓮が名越切通しから鎌倉に入った際、水を求めて杖で地面を突いたら、水が湧き出たといわれる井戸である。
 住宅街が途切れると、木々の生い茂る山道になる。 足元に注意しながら薄暗い苔むした道を進むと、名越切通しの標柱のある場所に着いた。 そのまま進めば逗子駅方面に抜けられるのだが、今回は、光明寺に寄るつもりなので、 ここで引き返すことにした。


 注連縄が飾られた山門
 境内の奥に本堂が見える。
2014/10/11撮影

 本堂(帝釈堂)の前には、四天王像に囲まれた大きな日蓮像が置かれている。
2014/10/11撮影
長勝寺と名越切通しの間に、鎌倉五名水の一つ日蓮乞水(にちれんこいみず)があり、石碑が建っている。
 日蓮にまつわる伝説の井戸だが、今は使われていないようだ。
2014/10/11撮影

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