平等院(宇治市) 2012年 6月
 平等院(びょうどういん)は、京都府宇治市にある単立の寺院で特定の宗派に属していないが、 17世紀以来、天台・浄土両宗の共同管理となっている。 山号は朝日山。 開基は藤原頼道で、平安時代の1052年のことである。 翌1053年には阿弥陀堂(鳳凰堂)が建立されている。 その後、法華堂や多宝塔などの伽藍が作られたが、戦火や災害などに遭い、今は残っていない。 鳳凰堂が残っているのは、奇跡的とされている。
 その鳳凰堂が2012年9月から修復工事のため拝観停止になることを、6月の新聞記事で知った。 数年前に宇治の近くに用事があった際に拝観したことがあるのだが、ゆっくりと回れなかった記憶がある。 そこで、修復工事に入る前にもう一度見たいと思い、2012年6月の京都旅行で拝観することにした。
 朝の開門と同時とまではいかないが、かなり早い時間に平等院に着いて中に入ったら、もう修学旅行生の団体が 境内を回っていた。 さすがに日本を代表する歴史遺産だけのことはある。 筆者も学生たちの集団に混じって、まずは鳳凰堂の周囲を歩いて写真を撮った。 池には睡蓮の花が咲いていていかにも浄土らしい雰囲気が醸し出されていた。
 鳳凰堂内部の拝観は9時半から始まる。 切符を買ったら、その9時半からの組に入れた。 堂内に入って、本尊の阿弥陀如来坐像を拝観する。 仏師定朝晩年の傑作で、金色に輝いている。 丈六の仏像だが、けっこう大きいというのが第一印象。 というより部屋が弥陀如来坐像を安置するための大きさになっていて、近づいて拝観するから そう感じるのかもしれない。 もともとこの阿弥陀像は、池越しに礼拝するように作られたと考えられている。 そして像を囲む壁面には九品来迎図と木造雲中供養菩薩像52体がある。 ここは、平安時代の貴族が求めた極楽浄土の世界が凝縮されているのだろう。
 平等院は、建築、仏像、庭園とすべてが洗練の極致といっていい。
 ただ、盛時には鳳凰堂以外にもいくつもの伽藍が建ちならんでいたことや、 鳳凰堂そのものも後に改修されていることなどを知ると、見方も多少変わってくる。 例えば、今の鳳凰堂の屋根は本瓦葺きだが、元は木製瓦だったそうだから、 創建当時の様子はずいぶんと異なっていたと思われる。

 ところで、宇治といえばお茶が有名だ。 JR宇治駅から平等院に向かって歩く道すがら、目につくのはほとんどがお茶屋さんである。 ただ、日本への茶の伝来は、鎌倉時代の栄西によるとされるから、平等院創建当時は、宇治茶は存在していなかったわけだ。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。


 表門
 朱塗りの表門を入って拝観料を払い、 寺院というより公園のような感じの通路を進むと、ほどなく左手に観音堂が、正面に 鳳凰堂が見えてくる。
2012/6/21撮影

 観音堂
 創建当時の本堂跡に再建されたという。 鎌倉時代の建物。
2012/6/21撮影

 東を向いて建つ鳳凰堂
 晴れていれば朝日が正面から射すはずなのだが。
 中堂と左右に広がった翼廊が見えているが、阿弥陀如来坐像が安置されている中堂以外は、 飾りとしての役目なのだ。
2012/6/21撮影

 鳳凰堂
 阿字池には睡蓮が花をつけていた。
2012/6/21撮影

 蓮の花が一輪咲いていたが、花びらの形が今一つだった。
 うしろは鳳凰堂。
 鳳凰堂の内部を拝観するときは、赤い橋を渡る。
2012/6/21撮影

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