安居寺(富山県南砺市) 2013年 12月
 安居寺(あんごじ)は富山県南砺市安吾(やすい)にある高野山真言宗に属する寺院で、 山号は弥勒山である。
 8世紀初頭にインドから来た善無畏三蔵(ぜんむいさんぞう)によって開かれたというから、 約1300年もの歴史を持っていることになる。
 筆者が訪れたのは12月初旬の日曜日。 朝から、瑞龍寺、瑞泉寺それに城端別院善徳寺を回ったあとだったので、安居寺に着いたときは、 すでに昼をだいぶ過ぎていた。 北陸の12月は観光シーズンではなく、どこでも拝観者の姿はまばらだったから、 安居寺はさらに人が少ないのではないかと思っていた。 ところがお寺の駐車場に車を止めたら、先着者の2,3台の車があり、境内では数組の参拝者と出会った。 昔から安居寺の観音さまは霊験あらたかとされているため、大伽藍を擁しているわけではないが、 訪れる人が絶えない様子である。
 安居寺は、広々とした砺波平野が西側の丘陵部と接するあたりにある。 人家が点在する平野部からわずか200mほど入っただけなのだが、森閑とした山の冷気に包まれた環境にある。 安居寺周辺には門前町らしき商店街も見当たらないから、同じ南砺市にある瑞泉寺や城端別院善徳寺とは ずいぶんとお寺の雰囲気が異なる。 もちろん宗派も違うのだが。
 駐車場わきにある案内板をたよりに、まずは山門をくぐって観音堂に向かった。 杉の大木の中に埋まっているような境内は、昼でも薄暗い。 観音堂には雪囲いと思われる幕が下ろされているので、堂内に入るといっそう暗い。 そのためか厳かな雰囲気が強調されているようだ。 本尊の木造聖観音立像は秘仏で、収蔵庫に保管されているため、普段は拝観できない。 大きな絵馬などを見学後、いったん外に出て、隣に建つ本堂に移動。 こちらは新しい建物で、わずかに後方を振り返る姿の木造見返阿弥陀如来立像が安置されている。
 本堂前には大きなしだれ桜があり、安居寺周辺は公園として整備されているので、 春には桜の花を目当てに訪れる人も多いらしい。
 写真は、CANON 5D Mark U・EF24-105mm F4L IS USMで撮影。


杉の巨木が参道を包んでいる。
正面に見えているのが山門。 大木に埋もれているかのようだ
2013/12/8撮影

18世紀に再建された山門
一対の大草鞋が見えるが、下半分には雪よけ用と思われるビニールがかけられている。
門の奥に観音堂、右には本堂の屋根が見えている。
2013/12/8撮影

観音堂
18世紀に再建されたもの。
本尊の木造聖観音立像(重文)は秘仏で、観音堂の裏手にある収蔵庫に収められている。
2013/12/8撮影

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