白水阿弥陀堂(福島県いわき市) 2011年 7月
 白水阿弥陀堂(しらみずあみだどう)は、福島県いわき市にある。
 近くに本堂がある真言宗智山派願成寺が所有している。
 しかし、以前から独立したお堂であったため、白水阿弥陀堂と呼ばれていたという。
 もともと、この阿弥陀堂は、平安時代後期の1160年に岩城則道の妻が亡くなった夫の菩提を弔うために、 中尊寺金色堂にならって建立したと伝えられている。
 阿弥陀堂は福島県で唯一国宝に指定されている建造物(2011年現在)だが、昭和になってから復元された浄土庭園も評判が高い。
 その浄土庭園を彩る蓮の花の時期に合わせて出かけてみた。
 2011年の7月のことである。
 早朝、東京駅からいわき駅行きの高速バスに乗ったら、乗客は10人ちょっとで、がらがらだった。 福島第一原発の事故を受けて、福島県に出かける人が少ないのかもしれない。 福島県に近づくにしたがい、常磐道の路面に所々でうねりが残っているのがバスに乗っていてもわかる。 車窓から眺めていると、瓦屋根の棟の部分に青いシートが掛けられている民家が目につく。 地震で被害を受けて応急処置をしたままなのだろうか。
 いわき駅で路線バスに乗り換えて「あみだ堂」バス停で下車。
 訪れた日は平日で、拝観者をほとんど見かけず、静かなたたずまいだった。
 心配した地震による被害は、阿弥陀堂については軽微だったようだ。
 浄土庭園に入り、朱色に塗られた南橋(反り橋)を渡って中島にある受付で拝観料を支払うと、係りの人が 北橋(平橋)を渡り阿弥陀堂まで出向いて案内してくれた。 堂の中で阿弥陀三尊像と二天像を前にして、筆者一人のために説明をしてくださった。
 堂を出て、池の周りを歩いてみて連想したのは、横浜市にある称名寺の庭園である。 構図がそっくりなのである。 ともに三方を小高い山に囲まれ、大きな池に中島があり、 その中島に南側からは反り橋が、北側には平橋が架かっている。 称名寺の場合には正面にあるのは金堂だが、庭園の構造、雰囲気は似ている。
 池の東側には、この庭園を華やかにしている蓮が群生していて、 見事な花を咲かせていた。 2,3年前から蓮の株が減っているらしいが、それでも見応え十分である。 浄土庭園には、花があったほうが相応しい。 やはり蓮の花の季節に来てよかったと思った。
 写真は、CANON 5D Mark U・EF-24-105mm F4L IS USMおよび EF70-300mm F4-5.6L IS USMで撮影。


 浄土庭園に南側から入ると、まず正面に南橋(反り橋)が目に入る。
 その先、北橋(平橋)の向こうに阿弥陀堂が見え、右手に広がるのが東苑池。
 この写真では小さくてよくわからないが、池の向こう岸に沿って蓮が群生している。
2011/7/22撮影

 阿弥陀堂
 福島県で唯一の国宝建造物。 栩葺(とちぶき)の屋根が描く曲線が美しい。
 一辺が約5メートル半の、そう大きくないお堂だが、存在感がある。
 拝観料を払うと、堂内で阿弥陀三尊像を眼の前にして、説明を聞くこと ができる。
2011/7/22撮影

 南橋と阿弥陀堂。
 阿弥陀堂は木々に囲まれているため、池の外側からは屋根しか見えない。
 極楽浄土の再現としては、阿弥陀堂は水面に映っていたほうが相応しいように思うのだが。
2011/7/22撮影

 北橋(平橋)と東苑池の蓮の花。
 蓮は、東苑池の東側にかたまっている。
 池の周りを歩いていたら、足元でシジミチョウがちらちらと舞うので、 よく見たらツバメシジミだった。
2011/7/22撮影

 南橋(反り橋)と蓮。
 蓮は仏教を象徴する花で、白蓮華と呼ばれる白い花が最も気高いとされる。 「妙法蓮華経」の元の意味にも白蓮華が含まれている。
 でもピンクの花が混じっていたほうが絵になる。
 池では、水鳥が遊んでいた。 カワセミも来るらしく、地元の人がカメラを三脚にセットして待ち構えていた。
2011/7/22撮影

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