蚕糸の森公園の桜 (2011年/2013年)

 2011年の桜の花は、どこでも概ね見事だったようだ。
 筆者も満開の時期と天候などがうまくタイミングがあったせいで、 鎌倉や京都でも桜見物をすることができ、春を満喫できた。
 家の近くには蚕糸の森公園があり、規模は小さいけれども桜の花を楽しむことができる。
 前年の2010年の桜の時期にカメラを持って公園を散歩して以来、 単なる花の写真ではなく、変わった写真が撮れないものかと考えていた。 そこで思いついたのが、長時間露光である。 池には亀がいる。 水面を漂う花びらと、ほとんど動かない甲羅干し中の亀を、10秒程度の露光時間で撮影すれば 面白そうなのである。 ところが使用するカメラCANON 5D Mark2の最低感度はISO100で、最小絞りはf22である。 これでは、昼間に数秒の露光時間を得るのは無理である。 減光フィルターを使うしかないので、減光率1/16のフィルターを購入した。 もっと減光率の大きいものは1/400だが、店頭には置いてなかった。 1/400フィルターは、主に太陽を撮影するときなどに使用されるらしく、日食の前に多く出回るようだ。
 その減光フィルター(1/16NDフィルター)とPLフィルターを使用して撮ったのがここで紹介する写真である。
 実際に亀と水面の花びらの組み合わせで撮ってみてわかった点がいくつかある。
 まずは、桜が満開を過ぎて花びらが盛大に散り始めないと、水面の花びらの数が少なく面白味に欠ける。
 次に、多くの亀が池の石の上に登って甲羅干しをするのは、桜の花の季節であれば、 太陽が出て石に日が当たっているときである。
 ところが、まともに水面に太陽が当たると、PLフィルターを使っても水面の余計な反射を取りきれない。
 結局、晴れた日の太陽が出ているときに亀が石に登り、時折流れてくる雲に太陽が隠れるときが シャッターチャンスで、そのときに水面が動いて花びらがうまく流れてくれると、絵として面白い写真が撮れることがわかった。
 ここに載せた写真は、2011年4月と2013年3月に三脚を使用して撮影した。


花びらの流れが複雑になるとこんな感じになる。 花筏と言ってよいかもしれない。
ISO100・絞りf22・13秒・1/16NDフィルター・PLフィルター。

甲羅干しする亀と花筏
カメの動きは人間と比べてゆっくりとしている。 時間感覚も人間とは違っているかもしれない。 そうだとすると、人間の眼にはほとんど止まって見える水面も、カメには写真のような水面の動きが見えている可能性があるのかもしれない。
ISO160・絞りf22・8秒・1/16NDフィルター・PLフィルター

池と亀と桜の花
池の水面上の花びらが増すにつれ、枝に残っている花が少なくなってくる。
ISO100・絞りf22・8秒・1/16NDフィルター・PLフィルター。

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