高尾山の蝶と四季 2012年
1) 冬の光景

朝日が富士山に射した瞬間。
山頂で日の出を見るために、中央線下りの始発電車を利用した。 高尾駅で京王線に乗り換えて高尾山口駅に降り立ったときはもちろん真っ暗。 頂上に着くと、1週間前の雪がまだ解けずに残っていた。 いつもは写真を撮りに来る人が誰かしらいるものだが、このときは筆者一人だけ。 カメラの準備をして持つこと10数分で富士山に陽が射し始めた。

2012/1/31 CANON 5D Mark2・EF-24-105mm F4L IS USMで撮影

2月18日朝の高尾山登山口。
真っ青な空を背景に樹木の枝が朝日に輝いていた。 気温が低かったのか、枝についた雪(霧氷かも)は、日が当たってもなかなか融けなかった。
2012年の冬は例年にない寒さで、高尾山でも何回か雪景色を楽しむことができた。

2012/2/18 PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影

上と同じ2月18日朝の高尾山ケーブルカー清滝駅前。
さすがに真冬に来る人は少なく、快晴なのに閑散としていた。

2012/2/18 PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影


2) オオムラサキ

オオムラサキ幼虫
2011年の秋から2012年の春にかけて、高尾山に登るついでに数回ふもとを歩いてオオムラサキの 越冬幼虫探しを行った。
その結果わかったのは、幼虫の植樹であるエノキさえ見つかれば、かなりの確率でオオムラサキの幼虫がいることである。 ただ冬になってエノキを判別するのは、あまり簡単ではない。 葉の落ち切らない秋のうちにエノキの位置を確認しておくのが よさそうだ。
2011年12月に撮影した幼虫の写真はすでに紹介済みだが、この写真はそれとは別の場所のエノキの根元で 見つけた幼虫である。

2012/3/12 CANON EOS 5DMarkU・EF100mm F2.8Lマクロ IS USMで撮影

オオムラサキ幼虫
初夏になり、オオムラサキの幼虫がどうなっているか知りたくなり、高尾山麓のエノキを見に行った。 ところが、冬にエノキの根元で比較的容易に見つかった幼虫も、簡単には見つからない。 エノキの葉や枝に移動したからだ。 低い位置に枝を張っているエノキはそう多くない。 ようやく手が届く範囲に枝を広げたエノキを見つけ、葉をかき分けて探したところ、エノキの葉の色に 同化しているこの幼虫を見つけた。 第一印象は、越冬幼虫に比べて随分大きくなったということ。 上の写真の越冬幼虫も大きく見えるが、これは撮影倍率が違うためだ。 エノキの葉の大きさと比べると大きさの違いがわかると思う。
昼は葉の裏でじっとしているらしく、撮影中も動かなかった。 なお、この写真の幼虫がいたエノキは、冬に根元で幼虫を見つけた木ではない。

2012/6/11 CANON EOS 5DMarkU・EF100mm F2.8Lマクロ IS USMで撮影

オオムラサキ蛹
上の写真を撮ったのち、しばらくしてもう一度オオムラサキを調べに行った。 もっと早い時期に行きたかったのだが、事情があってなかなか時間が取れず6月下旬になっていた。 すでに成虫になっているかもしれないと思いながら葉を調べたら、この蛹が見つかった。 上の写真と同一個体かどうかはわからない。 よく見ると、蛹には小さな蟻が群がっていて、一部が変色して黒ずんでいた。 せっかく蛹まで成長しても、他の昆虫の犠牲になってしまうとは、自然界は厳しいものだ。 念のため蟻を追い払い、この蛹を家に持ち帰って7月下旬まで観察したが、やはり羽化はしなかった。

2012/6/27 PENTAX K-5・DFAマクロ50mmF2.8で撮影


3) 高尾山の春

裏高尾町駒木野にある神明神社の桜
隣に規模の小さな梅林があるのだが、このあたりまで足を延ばす人は少ない。

2012/4/15 CANON 5D Mark2・EF-24-105mm F4L IS USMで撮影

新緑と3号路に架かる橋

2012/4/28 PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影


3) 高尾山の夏の花

ヤマユリ
夏に高尾山で目立つ花といえばヤマユリだ。 この写真は薬王院で撮影。
例年、夏の高尾山といえば、頂上のコナラの木の樹液に集まるオオムラサキなどの 蝶を撮影するのが楽しみだった。 しかし、昨年(2011年)の台風でそのコナラが倒れてしまい、手軽にオオムラサキを 観察できなくなったのは残念。

2012/8/05 PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影
レンゲショウマ
上の写真と同じく薬王院で撮影した。

2012/8/05 PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影


4) 初秋 −イチモンジセセリとヤマホトトギス−

ヤマホトトギスの花で吸蜜するイチモンジセセリ
9月9日、久しぶりに高尾山を歩いた。 6号路から頂上に登ったのだが、取りたてて筆者の興味を引く被写体がないので、 下りはヤマホトトギスの花でも撮りながら3号路を下ることにした。 頂上付近で見つけたヤマホトトギスの花を撮影しているときだった。 突然1頭のイチモンジセセリが現れ、眼の前の花に止まったのだ。 写真は、慌てて撮った数枚のうちの2枚。
ヤマホトトギスもイチモンジセセリも別に珍しい花や蝶ではないが、 一緒に写ることで絵になったと思っている。
このときカメラに付いていたレンズが、標準ズームでなくマクロレンズだったら、 もっと拡大して撮影できたかもしれない。

2012/9/09 PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影
ヤマホトトギスとイチモンジセセリ
イチモンジセセリは上の写真と同じ個体だが、ヤマホトトギスは近くにあった別の花。
イチモンジセセリが花被片に足を乗せて体を支え、口吻を蜜腺に差し込んでいる様子がわかる。
こうやってイチモンジセセリを横から見ると、目が大きいせいかけっこう愛嬌のある姿をしている。
ヤマホトトギスにとって、イチモンジセセリが受粉に役立っているのかどうかまでは 観察する余裕がなかった。

2012/9/09 PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影


[TOP]