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アカボシゴマダラ
1990年代に人為的に関東地方に持ち込まれたとされるこの蝶も、生息域を広げて、
今や都内で普通に見られるようになった。
蚕糸の森公園を歩いていても、よく見かける。
本ホームページでもすでにこの蝶の写真を数枚載せているが、赤い斑紋がおしゃれで写真写りがいいので、
ついカメラを向けてしまう。
でも、関東地方に持ち込まれた経緯を考えると、いささか複雑な気持ちでシャッターを切ることになる。
この写真の個体は、そのしぐさから産卵場所を探しているように見えた。
筆者の記憶では撮影場所付近に食樹のエノキはないはず。
そこであたりを見回したら、高さが1mに満たないエノキの幼木は、
灌木の茂みの陰などにけっこう多いことがわかり、認識を新たにした。
2014/8/17 PENTAX K-5・DFAマクロ50mmF2.8で撮影 |
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アカボシゴマダラ幼虫
上の写真を撮ったのち、10日ほどして、蚕糸の森公園を歩いたときのことである。
アカボシゴマダラ成虫の姿はなかったが、あるエノキの幼木を見ると、葉がひどく食い荒らされている。
もしやと思い、葉をよく見ると、アカボシゴマダラの幼虫が葉の上で静止していた。
幼虫の姿は、同じエノキを植樹にするゴマダラチョウと似ている。
相違点は、アカボシゴマダラの場合は背中の突起が4対で尾端が閉じているのに対し、
ゴマダラチョウ幼虫の突起は3対で尾端が開いている。
2014/8/28 PENTAX K-5・DFAマクロ50mmF2.8で撮影 |
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アカボシゴマダラの蛹
蚕糸の森公園で、エノキの幼木に注意して歩くと、
いたるところにと言っていいほどたくさん見つかる。
今までエノキの幼木の存在に気が付かなかったのは、そういう意識を持って見ていなかったということなのだ。
人の目には、興味のないものは見えていないことがわかる。
たくさんあるエノキの幼木を覗き込みながら公園を一巡すると、
ほぼ毎回のようにどこかでアカボシゴマダラの幼虫が見つかる。
ゴマダラチョウの幼虫も少ないが見つかる。
ときには蛹も見つかる。
写真の中央、エノキの葉にぶら下がっているのが、アカボシゴマダラの蛹。
上の写真の幼虫とは場所が離れているので別の個体である。
2014/9/19 RICOH GX200で撮影 |
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羽化直前のアカボシゴマダラの蛹
上の写真の蛹を家に持ち帰り、羽化の瞬間を観察することにした。
持ち帰って6日目の夜、蛹の色が変わり、翌朝にでも羽化しそうな気配に気が付いた。
そこで、記録としてこの写真を撮っておいたのだ。
夜19時45分ごろのことである。
結果的には、この約1時間半後に羽化することになる。
2014/9/24 PENTAX K-5・DFAマクロ50mmF2.8で撮影 |
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上の写真を撮ったときは、羽化は翌朝以降と勝手に予想していた。
21時過ぎに蛹を見たときにも変化はなく、蛹を置いてある部屋でパソコンを操作しながら、
知人と電話で話を始めた。
そして、21時半ごろ電話を終えて蛹に目をやったら、なんと羽化していた。
ほんの10分程度目を離した隙に羽化したのである。
慌てて撮ったのがこの写真で、羽化直後のアカボシゴマダラが、蛹の抜け殻にしがみついている。
自然状態で夜間に羽化することがあるのかどうかわからないが、
部屋が明るかったので、昼と間違えたのかもしれない。
まさか夜中に羽化するとは予想していなかったので、羽化の瞬間を撮影しそこなってしまった。
2014/9/24 PENTAX K-5・DFAマクロ50mmF2.8で撮影 |
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この写真を載せたのは、11月13日という遅い時期の撮影だからである。
たぶん、これが蚕糸の森公園で見かけた2014年最後のアカボシゴマダラ成虫になるだろう。
8月からこの公園で、アカボシゴマダラの観察をしていて感じたのは、生命力の旺盛なことである。
幼虫はエノキの葉を探せば簡単に見つかるほど多いし、11月中旬になってもまだ成虫の姿が見られるのだから。
写真の個体は、羽化不全だったようで、右前翅が縮れている。
2014/11/13 RICOH GX200で撮影 |