導体球の静電誘導 (点電荷の場合)






点電荷と導体球(殻)がつくる電界

 導体球(殻)の外部または内部に点電荷を置いたときの電界の様子です。

(「一様電界」による静電誘導については ココ をクリックしてください。)

 *電荷や球殻の移動,および球殻の大きさ変更などの動きが重い場合は,『等電位線』を一旦『非表示』にして試してみてください。





  球殻の絶縁性(接地/絶縁):  に切り替え




   絶縁時における球殻帯電量: 点電荷の   倍




  球殻の厚み: 球半径の    倍




  電気力線の            等電位線の 




  等電位線の滑らかさ:     電界ベクトルの 




操作法:  

1)灰色の円は,導体(電気を通す)の球殻(内部が空洞の球)を表します。球殻の厚みは変えられます。
2) 赤色の点電荷と球殻は移動できます。また,球殻の大きさも変えられます。
 球殻の移動は,円の下部にある緑色の小さな四角形()をドラックしてください。
 球殻の大きさを変えるには,円の上部にある緑色の三角形()をドラックしてください。
 点電荷を,の位置に重ねないように注意してください。その後の変更がやりにくくなります。
 移動や大きさ変更が重い場合は,『等電位線』を一旦『非表示』にしてみてください。
3) 『電界ベクトル表示』をクリックし画面をタッチすると,その点の電界ベクトルが表示されます。電気力線上でタッチすると,電気力線の向きが分かります。
 球殻内部に電荷が入り込まない限り,球殻内部は等電位となり,電界はできません。
4) 球殻を「接地」(アース)すると,近づけた帯電体の電荷と同符号の電荷は地面に逃げてしまいますので,球殻の全帯電量は変化します。
 電位の基準点は,接地状態では球殻,絶縁状態では無限遠となります。

概 要:

 金属のような導体に正の帯電体を近づけると,導体中の自由電子が正の電気に引き寄せられ,帯電体に近い面は負に,遠い面は正に帯電します。このように,外部の帯電体からの影響によって導体の電荷分布に偏りができることを静電誘導と言います。

(参考)  静電誘導は,自由電子をもたない絶縁体(誘電体)にも起こります。この場合は,帯電体を近づけることによって絶縁体を構成する分子中の電子分布に偏りができ,全体として絶縁体表面に正負の電荷が現れます。これを誘電分極と言います。

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 静電誘導によってどのような電界ができるかは,導体の形状によって様々です。したがって一般的な解はありません。
 しかし,たとえば平面状導体とか球状導体といったきわめてシンプルで対称性のある場合については 電気鏡映(鏡像)法 と呼ばれる解析法によって電界の様子を知ることができます。それは,導体表面が一つの等電位面になっていることに着目し,これを境界条件として電界を求めていくものです。本シミュレーションもこの方法に従っています。

 赤色の点電荷を球殻の外でいろいろ位置を変えても,球殻内部には電界は現れません。また逆に,赤色の点電荷を球殻の内部に持ち込んでいろいろ位置を変えても,球殻の外の電界には変化が現れません。このように,金属などの導体で囲まれた部分は,外部と内部が電界としては分離されているように振る舞います。このような現象を静電遮蔽(しゃへい)と言います。携帯ラジオをアルミ箔で包むと放送が受信できなくなったり,静電気の影響を受けやすい電子機器のコアになる部分が金属で囲まれていることが多いのは前者の例であり,電子レンジののぞき窓のガラスの内部に金属ネットが埋め込んであるのは後者の例で,電子レンジ内の電磁波(電界・磁界が変化)が金属で囲まれた部屋から外部に漏れにくくするための工夫なのです。








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