天体の運動−3体問題(衛星の運動)

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太陽と地球と月の関係は、もちろん厳密には3体問題である。しかしこの場合、太陽に対して月の質量はきわめて小さいことから、地球の運動に対する月の影響はかなり小さい。そこでこれを無視すると、太陽・地球の関係は2体問題となり、両者はその共通重心のまわりをケプラー運動をしていると考えてよいことになる。また月の運動を考える場合、月に対して太陽より地球の方がうーんと近距離にあることから、月はほとんど地球の影響を受けて運動していると考えられ、そこで今度は、地球と月との2体問題と考えることが出来る。つまり、太陽との共通重心のまわりを地球がケプラー運動し、その地球との共通重心のまわりを月がケプラー運動をしていると近似できる。
しかしこれはもっとも荒っぽい近似(第1近似)であり、実際の運動とにかなりのずれが出てくる。そこでこの第1近似から計算される3体の位置を元にそれぞれの引力が計算できるので、この引力を考慮して改めて3体の位置を計算し直す(第2近似)。この第2近似の値をもとにさらに必要な補正を加えて・・・というように、次々と補正を加えて逐次近似解を求めていく方法を摂動論という。地球・月・人工衛星などの関係も同じように考えることが出来、またこの摂動論は原子を論ずるときにも利用される。
下のシミュレーションは、3体間の万有引力のみを考慮して、ルンゲクッタ4次法で解析している。3体の初速、初期位置、質量は変えられるようになっている。いろいろ触ってみて下さい。とくに衛星の初速をちょっと変えると、なかなかうまく惑星の周りを回ってくれなくなる。衛星はきわめて微妙な位置を微妙な速度で回っていることが分かる。
なお、「3体問題切替」ボタンを押すと、三体が正三角形の位置に配置する。ここで質量を全て同じにして「Start」させてみて下さい。その初期位置が少し変わるだけで、3体の様々な衝突の仕方が分かります。


操作法  天体の初速変更:「Reset」または「Stop」を押した後、各球の中心にカーソルを合わせてドラッグする。  天体の位置変更: 「Shift」キーを押しながら、「天体の初速変更」と同様にしてドラッグする。  「ラグランジュ点切替」:グランジュ点を L5->L1->L2  の順に切替る。   ライン表示:各天体を結ぶ直線を表示します。