小球が鉛直面内で円運動しながら一周する条件


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円形レールの中心Oより下方を運動中に、小球がレールから離れることがないことは自明であろう。したがって、O点よりの下の位置から小球を放した場合、小球は円形レールから離れることなく、レール上で往復運動をする事になる。円形レールの中心Oより上方から放した場合に、小球がレールか離れる可能性がある。

いま図において、円形レールの最下点からはかって高さ$h$の位置から小球が落下を始めたとする。このとき円形レールの最高点Pを通る鉛直線からはかって角$\theta
$における小球の速さ$v_{} $は、力学的エネルギー保存則より、


\begin{displaymath}
mgh = {\bun{{1}}{{2}}}mv_{} ^{2} + mgR(1 + \cos \theta )\qua...
...\left\{ {h - R(1 + \cos \theta )} \right\}}} \ldots \ldots (1)
\end{displaymath}

よって小球がこの位置でレールから受ける垂直抗力$N$は、垂直抗力、重力、遠心力による半径方向のつりあいより、


\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
0 = m{\bun{{v_{} ^{2}}}{{R}}} - mg\cos \th...
... - 2 - 3\cos \theta} \right)\ldots
\ldots (3) \\
\end{array}\end{displaymath}

上式が、小球がレール上の任意の位置においてレールから受ける抗力の一般式である。

この垂直抗力$N$が小さいほど小球はレールから離れやすいことを意味し、その位置は上式より $\cos
\theta =
0$となる位置、すなわちレールの最高点Pであることが分かる。したがって小球がレールに沿って完全に一周するためには、最高点Pにおいて垂直抗力が$0$以上であればよいので、$\theta
= 0$$N \ge 0$とおいて、


\begin{displaymath}
% latex2html id marker 143N_{\mbox{P}} = mg\left( {{\bun{{...
...ight) \ge 0 \quad
\therefore \uwave{h \ge {\bun{{5}}{{2}}}R }
\end{displaymath}

であればよい。( $h = {\bun{{5}}{{2}}}R$の点が点アである。)

つぎにレールから離れた小球が、その後放物運動してレールの中心Oを通る条件について考えてみよう。

小球がレールから離れる点をQとする。点Qでの速さを$v_{Q}
$とし、レールから離れてから中心Oに達するまでの時間を$t$とすると、水平方向、鉛直方向にそれぞれ放物運動の式を立てて、


\begin{displaymath}
% latex2html id marker 144{\left\{ {\begin{array}{l}
{0 =...
...{\bun{{gR}}{{2\cos \theta}} }\sin ^{2}\theta \ldots \ldots (4)
\end{displaymath}

一方$(2)$式で$N_{Q} = 0$とおいて、


\begin{displaymath}
% latex2html id marker 145N_{Q} = m{\bun{{v_{Q} ^{2}}}{{R}...
...\quad
\therefore v_{Q} ^{2} = gR\cos \theta \ldots \ldots (5)
\end{displaymath}

(4)と(5)より、


\begin{displaymath}
% latex2html id marker 146\quad
{\bun{{gR}}{{2\cos \theta}...
...ad
\therefore \uwave{\cos \theta = {\bun{{1}}{{\sqrt {3}}} }}
\end{displaymath}

これを$(3)$に代入して、


\begin{displaymath}
% latex2html id marker 147N_{Q} = mg\left( {{\bun{{2h}}{{R...
...re h =\textcolor{red}{\uwave{{\bun{{2 + \sqrt {3}}} {{2}}}R }}
\end{displaymath}