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ラグランジュ点とは?

 

ラグランジュ点は、天体力学の三体問題に出てくる平衡点である。

ではラグランジュ点ではどのような条件式が満たされているのだろうか、また具体的にどんな位置なのか

以下,人工衛星が地球と月の引力を受けながらその共通重心のまわりを周回するという設定で、ラグランジュ点について考察する。

 

 

人工衛星の質量は地球や月に対して無視できるので,全体の共通重心Gは地球と月だけで決まる。人工衛星がこの共通重心の周りを地球・月と同じ角速度で周回できる条件について考える。

まず,地球・月間の距離を,それぞれの質量をとすると,2質点と重心との距離は質量に反比例するので,地球から重心Gまでの距離は,

よって地球(または月)について円運動の式を立てることによって,地球・月の公転角速度を求めることができる。地球について式を立てれば、

 

 

地球と月は重心Gの周りに角速度で等速円運動をしているのであるから,人工衛星については地球・月に対する相対運動について考えれば十分である。

以下,地球・月に固定した座標系(以後,座標系と呼ぶ)を考えると,人工衛星の相対運動はこの座標系内での運動ということになる。この座標系は一定角速度で回転する回転座標系であるから,人工衛星に働く力として万有引力のほかに,遠心力コリオリの力を考える必要がある。ここで遠心力もコリオリの力も,回転座標系で観測した場合に現れる慣性力である。したがって人工衛星の座標系内での加速度は,上図の文字を使って,

     (1.1) 

上式の右辺第1項は地球・月からの万有引力の合力,第2項は遠心力,第3項はコリオリの力である。ただし,は人工衛星の座標系内での速度,の方向はこの面に垂直とする。

さて人工衛星が共通重心の周りを地球・月とともに運動するとき,この座標系に対して静止していることになる。したがって上式でとおくと,

以上より,人工衛星が地球・月とともに公転角速度で共通重心Gのまわりを公転することのできる位置は,人工衛星に働く万有引力と遠心力とのつりあい点であることが分かる。このつりあい点がラグランジュ点である。

 


 

以下,このラグランジュ点,すなわち万有引力と遠心力とのつりあい点を求めてみよう。

人工衛星が共通重心Gのまわりを角速度で周回するとき,人工衛星に働く遠心力は重心Gと人工衛星を結ぶ方向で外向きである。この遠心力と万有引力との合力とがつりあうのであるから,は重心Gに向いていなくてはならない。このような点として,地球・月を結ぶ直線上の点と,それ以外の点とに分けて考える。

 

 

A)     地球・月を結ぶ直線上にあるラグランジュ点(L1,L2,L3

1.ラグランジュ点

まず地球と月の中間にある点について考える。この点では上図において,地球からの引力は左向き,月からの引力は右向き,遠心力は右向きに働く。であるから,コリオリの力は働かない。よって,点の地球からの距離は,次式を満たす。

 

 

以下同様にして,

2.ラグランジュ点

 

3.ラグランジュ点

 

以上3式はそれぞれに関して5次方程式になるので,一般的な形では解は求まらない。しかし,近似的な数値解なら計算することができる。

以下にいくつかの例についてラグランジュ点の値を示す。

 

天 体

質量比

距離

月/地球

0.0123

地球/太陽

木星/太陽

 

 


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