これより明らかなように、波形は時間とともに変化していくが、波形そのものの移動は見られない。これが定常波である。つまり定常波は、振幅が場所によって決まっていることによって移動しないように見えるのである。したがって定常波の数式上の特徴を書けば、振幅が位置の関数になっていること()、また媒質各点は単振動しているので、媒質各点の変位は時間の関数として表されること(
)である。このことより、定常波の一般的式は以下のように書き表すことができる。
このように、定常波の数式上の特徴は、座標のみを含む項(因子)と、時刻のみを含む項(因子)とに分離され、その2つの積の形になることである。
さて、このような波は1つの単独の波では決してみられない。ではどのような場合にこのような波ができるかというと、振幅、波長、振動数に等しい波が互いに にのみ、見られるのである。この様子を、下のアニメで示してある。
次にこのことを、数式を用いて示してみよう。
互いに逆進する2つの波を、とし、以下の式で表されるとする。
以上より、合成波
は、座標のみの関数である項と、時刻のみの関数である項とに分離され、その積の形になっている。すなわち
の形になっているので、これは定常波を表している。つまり、2つの等しい波が逆進するとき、その合成波は定常波となるのである。その振幅は項の絶対値として表され、
となる。そして となる位置を 、 となる位置を という。