一般に波の反射には,位相がずれる固定端反射と,位相のずれない自由端反射とがある。
なお,透過波は,位相のずれを生じない。
<まとめ>
いま,軸上を伝わる1次元の波があるとする。ただし,原点Oでは媒質が不連続になっており,
では媒質(
)の密度が
,波の伝搬速度が
,
では媒質(
)の密度が
,波の伝搬速度が
とする。波は
方向から入射し,原点Oで波の一部が反射し,残りの一部はそのまま
方向へ透過していく。入射波,反射波,透過波をそれぞれ,
さてこのときこの媒質上を波動が入射してきたとき,次の2つの条件が満たされていなくてはならない。つまり,
(エネルギー保存則の代わりに,変位の距離勾配の連続性を考えるのが普通だが,高校生にはエネルギーの保存則の方が理解しやすいと思われるので,ここではその立場で説明する。)
まず1゜について考えよう。の点でのそれぞれの波動による振動は,上式に
を代入して,
(1)と(2)を連立させて,,
を
で表すと,
(3)は透過波の振幅が
ということで,当初より透過波を否定している解であるからこれは不適。よって(4)が
,
を与える。
以上より,,
の大小にかかわらず
であり,
しかし,反射波は,
の大小によって,次の2つのケースがある。
弦を伝わる横波の速さは,弦の張力を
,弦の線密度を
とすると,
という式で与えられるゆえ,
空気で,
,
水で,
,
つまり空気中から水中に音波が入射する場合,反射音波は固定端反射となる。
光波の場合は,上記の議論をそのまま当てはめることはできないので,あくまでもその類推として理解しておいていただきたい。
光波は横波ゆえ,弦の場合を当てはめて考えよう。前記(5)式において,
の関係を使っての式に書き直すし,さらに
をもって
の領域の媒質に対する
の領域の屈折率と定義すれば,
,および
は次のようになる。
このことから,屈折率が
ならば
,つまり反射波は入射波と同位相,
ならば
,つまり反射波は入射波に対して位相が
ずれる。これに対して,
の値によらず
であるから,透過波の位相はずれることはない。
このことを,光波を含む横波一般についてまとめると次のようになる。