え、ちょっ馬路すか






馬面と鉄バット











目覚めればなんとやら、だ。目覚めればなんとやら、だ。
気が付けば下駄箱を背に座っていた。サークル見学をしていたであろう友人に起こされたというか
大丈夫かと顔を覗いてくる友人に返事をするが何故自分がこんな場所に居たかが分からない。
確か、あのセミロングの生徒がいて、いきなり何かで頭を打たれて

「しっかし、大丈夫かよお前。」

「…あぁ」

「身体大丈夫か?何でこんなトコに…」

「誰かに後ろからぶん殴られて気ぃ失って、今目が覚めて…ん?」

ズボンのポケットに違和感を感じ手を突っ込んでみる。
指先で判断したのは紙、出してみれば四つ折りになっている確か校内事件解決研究部と書かれた紙があった。
しかしそれは友人に貰ったものではなくやけに真新しく綺麗な紙で、活動場所が書かれていた。

「…校内の裏に、庭なんてあったか?」

「見学してないだろ裏側は」

すると友人は俺の手からその紙を取り楽しげに一つの提案をする。

「行ってみよーぜ、もしかしたらお前を殴った犯人捜してくれるかもしんねーし」

絶対言うと思った。
当然二兎は行きたくないし早く帰りたかったのだが、友人に無理やり腕を引かれ行く羽目になってしまった。

それはいいのだが一つ気になった事がある。
活動場所が書かれた文字が微かながらこすれていた気がする。まるでその場で書いて慌ててインクが乾かない状態で触れてしまった様な



校内にある庭は、想像していたものよりも遥かに広く森なのではないかと思わせる程木々が生い茂っていた。
鉄製のアーチをくぐり、レンガ畳の道を歩いて行けば正面に現れる庭にありそうな洋式の椅子とテーブル。それから人
暇なのか知らないが大きな欠伸をして椅子に座りながらもテーブルに足を置いている。言うならばだらしがない

勇敢にも友人がその人に近付いて行く。

「あの…事研の方ですか?」

事研、という言葉に机の上に足を置いていた人は一瞬驚いた様に目を見開く。何で知っているんだ?と言わんばかりの顔である。
俺がその紙を見せれば納得した様に「新入生!!」と一声上げ指を差される。先輩かもしれないが人を指で差すのは失礼だと思う。

「待ってろ、先輩呼んで来るから」

部長か誰か偉い人でも呼んでくるのだろう。
適当に待っていてと言われたので花壇に咲き乱れる花々を鑑賞。素人から見ても此処の花達は元気に見える、育てている人はよっぽど手を掛けているのだろう

ぱきり。
聞き覚えのある音がした気がした。
しかしそんな疑問も先程の先輩の登場により強制的に消される。

「先輩、新入生」

そう告げる先輩の後ろから現れた人物に絶句した。俺だけじゃなく友人もだ

片手には鉄バット
顔には馬の被り物(良く宴会の芸とかで登場する薄い皮のやつ)。
そしてジャージ

何処からどう見ても今から組を潰しに行くヤンキーの類に見える。

するとそのヤンキーは俺と友人に向かってあろうことか


鉄バットを投げてきた。



2010.4.17





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