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● 文藝春秋編『改訂新版 東京いい店うまい店』(文藝春秋、昭和49年4月15日初版)より「まるたか」、170頁。


『改訂新版 東京いい店うまい店』より「まるたか」


まるたか

(酒亭)
241-3439
中央区日本橋本町1−3

〔味〕
★★★★★
〔値段〕
★★★★
〔サービス〕
★★★★


三越と旧魚河岸河岸の間の、教えるのに当惑すような小路の奥にある。

下町の伝統の、なにげないお惣菜で、いい菊正を飲ませる家。

カウンターと卓で、客は十五人しか入れない。名士、有名人の顔もみえるが、フリのお客にも丁寧だ。

夫婦に女のひと一人の店だが、よくイキの合った下町夫婦の見本みたい。おじさんの方は落語の文楽師匠のタイプで、もう一寸いい位だ。

一種の名人顔というか、味の王様のような顔である。関西だと神戸の青辰、船場の丸治のオヤジさん式の顔。ここのご主人もじつに、うまいものを作ってくれそうな顔なのだ。

はんぺん、あじ酢、里いも煮、野菜うま煮……。お惣菜といっても、玄人の念をいれた品で、揚出しなどの豆腐料理がいつも何かあり、楽しみ。上等の鮭もある。

満員で入れない場合もある。

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メニューの一部

一品   ¥200〜
刺身   時価
あじ酢  ¥450
半ぺん  ¥200
いり豆腐 ¥200

酒「菊正宗」樽特 ¥250

営業時間
11時30分〜12時30分
17時〜20時

定休日   日曜・祭日