すみれの身の上
芽をだして、まわりを見たとき、泣いてしまった。 ・・・かわいそうに、雨に流されてきたんだね。 石ころさんがいった。 ・・・だが、オジサンは嬉しいよ、 こんなところに来てくれて。な、みんな。 ・・・うん、ウレシイ。つぶつぶウレシイ。 石ころさんたちに励まされて、 アタシはここでせいいっぱい生きようと思った。 最初の花が咲いたとき、 オジサンたちのよろこびようったら・・。 つぶつぶ、つぶつぶ、夜どおし唄ってたよ。 ・・・ほうほう、えらいもんだ。 お日さまがほめてくれた。 ツバメはいつも回り道して、アタシを見にきた。 そして今日、無事にタネをこぼした。 風や雨に運ばれてどこへ行くのかしら? アタシの子どもたち、 それぞれの居場所で愛されて生きてほしい。 |