すみれの身の上

 

 

 

芽をだして、まわりを見たとき、泣いてしまった。

 

・・・かわいそうに、雨に流されてきたんだね。

石ころさんがいった。

・・・だが、オジサンは嬉しいよ、

こんなところに来てくれて。な、みんな。

・・・うん、ウレシイ。つぶつぶウレシイ。

   

石ころさんたちに励まされて、

アタシはここでせいいっぱい生きようと思った。

 

最初の花が咲いたとき、

オジサンたちのよろこびようったら・・。

つぶつぶ、つぶつぶ、夜どおし唄ってたよ。

 

・・・ほうほう、えらいもんだ。

お日さまがほめてくれた。

ツバメはいつも回り道して、アタシを見にきた。

 

そして今日、無事にタネをこぼした。

風や雨に運ばれてどこへ行くのかしら?

アタシの子どもたち、

それぞれの居場所で愛されて生きてほしい。   

 

5/20道端で  TOP