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軍靴の響き

 
年表によると昭和十六年十二月八日に真珠湾攻撃、対米英宣布告が
なされています。
父の詩は軍靴の響きが日増しに近づき、戦時色が強まる中で書かれ
ました。
粗末な紙に印刷されたこの詩集は、いつも身近なところに転がって
いて、子供の頃にも何度か読んでいます。
高校生の頃、大変な時代に、父はなんて暢気な詩を書いてたんだろ
う、と思ったこともあります。
    
このページをつくるにあたって、三百九十八篇の中に六篇、戦争に
関る詩を見つけました。
同じ日、仲原淳一の少女の絵が昭和十五年に国情に合わないという
理由で禁止されたという雑誌記事を目にして、この一群のやさしい
詩は父の反戦歌であったかも知れないと思ったのです。