最終更新日:
2004/05/16

フィットって? 
 

 「フィット」という車について今更説明する必要もないだろう。
 大人気のホンダ製小型車。
 売れに売れて街中で「犬も歩けば」当たるのが「フィット」だ。
 まー、5台目たけぽん号である「えすちま」もその系統の車なのでその事については触れないでおこう。
 一つ言えるのは、多くの人が選ぶ車には選ばれる理由がある、ということだろうか。

 フィットのデビューは2001年の6月だ。
 燃料タンクを前列座席の下に入れた、というコマーシャルは憶えている人も多いだろう。
 当初私のフィットに対するイメージは「お買い物に便利なコンパクト5ドア」だった。
 ところが乗ってみると意外や意外、なかなかにスポーティーな車だった。
 今回、掲載する写真はレンタカーで借りた1.3Lフィットだが、以前に試乗したことのある1.5Lモデルの感想も交えてインプレッションしていこうと思う。

 最初に乗ったのは1.3Lのモデルだった。
 走ってみて「あ、結構スポーティーだな」と感じた。が、すぐに「ん?何だか変な感じ・・・」と感じた。
 何だか・・・走らない!
 フィットに搭載されるトランスミッションはCVT形式の無段階変速機。それ故に、ちょっとスポーティーな走りをしようとアクセルを踏み込んでやるとエンジンは一気に高回転まで回るのだが速度が変わらない!少し遅れてから徐々に加速が来る。
 コレでは、スポーティーな走りは楽しめない!なまじっか、足回りや雰囲気がスポーティーなだけに訳がわかんなくなってしまう。
 このCVT特有のクセ、はっきり言ってキライです。

 次に、1.5Lのモデルに乗った。
 1.5Lのモデルに搭載されるトランスミッションも同様にCVT。
 しかし、1.3Lのモデルで感じた「変な感じ」は少ない。変速段階数も違うし、何らかのセッティングで違う感じが出ているのだろう。
 適度な足の堅さと余裕のエンジン性能で1.3Lのモデルを軽く凌駕している。
 私的にフィットを選ぶなら1.5Lのモデルを選びたい。
 ・・・しかし、お買い物車にしては足回りが堅すぎるような・・・

外 観

・斜め前から見たところ。
 一番かっこいい角度と言われていますが?
・斜め後ろから見たところ。
 大きさがよく分かりません・・・

 言わずと知れたことだが、フィットは小型車である。
 外寸は全長3830*全幅1675*全高1525、ホイールベース1525、車両重量1010kg。
 同ジャンルと言われているヴィッツよりも若干大きい。bBやistとほぼ同サイズか。
 「小型車が欲しいけど軽やヴィッツでは、荷物が積めないし」というニーズにぴったりと当てはまった形だ。
 若干大きいと言っても小型車。取り回しに苦労するような大きさではなく、スーパーの駐車場の車庫入れも楽々。
 確かに街乗りではいい大きさだろう。

 エクステリアに目を向けてみると、まず特徴的なのはつり上がった「目」。いや、ヘッドライトだ。
 発売当初はまだ現在のような「つり目ブーム」ではなく、エスチマ号のことは棚に上げて「変なかおー」とか思ったモノだ。
 しかし、流線型のヘッドライトの中には大きなライトがウィンカーなどと共にまっすぐこちらを向いている。
 もちろん、前に向かって光を出さなければならない以上、ライト本体がこちらを向いているのは当たり前なのだが、この車はそれを流線型の外観と調和させずに強調することでより個性を出してきているのだろう。後に、カバーの内部をボディ同色にするモデルが出たことからもこの辺りは明確なのでは無いだろうか。
 更に、ヘッドライトから少し中に入ったところにあるボンネットのキャラクターライン。なかなか目をひくポイントだと思うのだが?

 リアビューに目をむけると、目に付くのはブレーキやウィンカーが収まってるリアコンビランプ。
 ここにも、ヘッドライトと同様の手法で個性的な味付け行われている。ウィンカーの部分だが、写真ではわかりにくいか?

 意外と丸くはない、直線基調の車で、なかなか微妙な味付けが効いている。
 私としては外観は悪くないと評価出来る。

車内
 車内に目を向けてみよう。
 第一印象は、「シートが小さいな」という感じ。
 実際に座ってみると、ふにゃっと柔らかいが、薄いシート。
 実際にはそんなには小さいシートでは無い様な感じだが厚みが足りない。
 コレは小型車の宿命だが、常に腰掛けている部分だけに気にはなる。もう少し厚みが欲しい。
 訳の分からないツートンカラーも好きになれない点だ。
 若々しさを表現しているのかも知れないが、私はもっとシンプルな色調でまとまっている方が好きである。
 座ってみた感じでは、窮屈さは感じない。
 助手席との距離が近い感じがするのはしょうがないのだが、特に肩や足が当たることもなく必要十分な感覚は確保されている。
 特に、助手席側では結構な広さを感じることが出来る。

 
 リアシートに移ってみる。
 背もたれがたちすぎている感じがするが、座面自体も結構高い位置にあるのでそれほど苦しい感じはしない。
 十分な高さも相まって、上方向の窮屈さは感じない。
 さすがに、前席をめいっぱい後ろに下げると足下が窮屈になってしまうので、後ろに座っている人がいる場合には、座席を少し前にする気遣いは必要かも知れない。
 ここでも2色に分けられたデザインのシートはとても気に入らない。
 まー、言ってもしょうがないのだが。

 再び前席に戻って、インパネを眺めてみる。
 運転席の独立3連メーターと3連丸形エアコン操作盤がアクセントになり、スポーティーな雰囲気を醸し出している。
 写真のモデルは内装色がグレーだが、1.5Lのモデルは内装色が黒色となり、更にスパルタンなイメージを表現している。
 私の好みは当然ながら黒の内装色。

 この車だけの話では無いのだが、オーディオスペースの直上にエアコンの吹き出し口を設けるのはどうかと思う。
 最近はやりのポップアップ式のテレビが取り付けられない。
 いや、私はセパレート型をダッシュボードの上に貼り付けるのが好きなので別にどうでもいいのだが、将来性や色々なことを考慮すると、エアコンの吹き出し口は少し逃がして一番上にオーディオを設置して欲しいモノだ。

 意外と秀逸だったのがカップホルダー。
 昼間は分からなかったのだが、カップホルダーを照らすライトが着いている。
 今でこそたまに見かけるこの装備だが、フィットに着いていたとは・・・
 光り物(自発光に限る)好きな私としては涙ものであった。
 位置的にも使いやすい位置にあり好感が持てた。

 ラゲッジルームに目を向けてみる。
 このラゲッジの余裕がフィットの最大の売りであることは間違いない。

 上の写真は通常の4人(?5人か)乗車モードでのラゲッジ。
 開口部が若干狭くも感じるが、実際の作業には問題はない。
 この状態でも十分な広さのラゲッジを確保しており、ヴィッツ・マーチなどの対抗車との差は歴然だ。
 燃料タンクがラゲッジ下に無いことにより、床面はかなり低くなっていて高さ方向にも十分な積載能力がある。

 しかし、この車の積載能力のキモはここではない。

 下の写真は左側の後部座席を前に倒した状態。
 後部座席の座面は十分な高さがあるのにこの状態になる!
 フィットクラスの車格でこれだけの積載能力があれば申し分ないだろう。
 コレは後部座席の足下に座面が沈み込んでその上に背もたれが倒れ込む構造のおかげ。
 センター・タンク・レイアウトの恩恵の一つだろうが、かなり優秀な機構だと思うので他車も採用したらいいのではないかと思うがいかがだろうか?

エンジン
 コンパクトなボンネットを開けると、これまたコンパクトにエンジンが収まっている。
 エンジンの仕様はL13A。i-DSI+PGM-FIである。
 (1.5LはL15A、VTEC+PGM-FI)
 直列4気筒の横置きでSOHC。
 86馬力/5700rpm、12.1kg・m/2800rpm
 (1.5Lは110馬力/5800rpm、14.5kg・m/4800rpm)
 燃費はカタログベースで23kpl!(1.5Lは20kpl)。
 なかなかに驚異的な数字だ。

 普段比較的大きな排気量の車を乗っていると必然的に大きな車のスペックを見慣れてしまうのだが、たまにこのような車のスペックを見ると大きな馬力・トルクだけが車の性能を決める数字ではないと感じてしまう。

 実際に乗ってみた感じでは、1.5Lモデルの性能は必要十分であると感じた。200馬力とか、30kg・mとかを越える能力は重たい車を動かすのに必要なのであり、軽い車であればそんなモノは必要ない、改めてそう感じさせられた。

 さて、エンジンルームをのぞいてみよう。
 絞り込んだボディ形状な上に前照灯が入り込んできているので使用出来る空間は限られている。
 すべてのパーツが小さい、バッテリーなどもごらんの通りだ。
 コレを見ていると、コンパクトに収めるのに苦労したんだろうな、と、思いをはせさせずにはいられない。