おや、お久しぶりですね。
お忙しそうで何よりです。
はい、新しい商品ですか?
いろいろ仕入れておりますよ。
そうですね……あなた好みなのは……このあたりですかねぇ。
おや。
少し失礼。
最近はどうもいけませんねぇ。
ここにこうやって人がいらっしゃると必ず闇が紛れこんでくるのですよ。
闇?
ああ、これですよ。
気持ちが悪いものでしょう。
なんとも思いませんか?
『彼女』がこれをものすごく怖がるのですよ。
見ていて気持ちのいいものではありませんが、怖がるほどのものでも。
え、その『彼女』ですか?
今は寝ていますから。
少しお待ちくださいね、今、お茶を入れてきますから。
あなたは……ええ、分かりました。
お待たせいたしました。
今日はいいものを入荷していまして。
どうです、この香り。
そうでしょう、なかなかいいでしょう。
どれか気になる商品、ございましたか?
あぁ、それですか。
それは少し事情がありまして、いつもよりお安くいたしますよ。
内容ですか?
僕がお店に並べるものはきちんと胸を張ってお勧めできるものしか置いていませんよ。
内容は他のものより少し刺激的かもしれませんね。
そうですか。
今日はそちらを。
分かりました。
……はい、お値段はこれほどに。
ええ、いつもよりお安いでしょう?
でも、内容はとても良いものですよ。
はい、お支払方法はいつものように。
おや。
なんだかとてもうれしそうですね、なにかあったのですか?
はぁ、借金のかたに仕入れた女性が……ほう。
あなたも相変わらずですねぇ。
で、……それは。
少し売る相手を間違えたのかと思いますが……。
もちろん、あなたの御商売のことですから僕が口を出すのもなんですが……あなたがおっしゃった金額の一割増しですか。
揺らぐ気持ちは分かりますが……。
あぁ、また厄介なことにならなければ……。
いえ、こちらのひとりごとです。
はい、またのおこしをお待ちしております。
……
「また」
があればよろしいのですが。