ニュートラルスイッチ&キルスイッチ&セルモーター用リレー&トリムタブについて
2002/09/14


ニュートラルスイッチについて

写真間違えの為、後日掲載


写真中央に見えるのがニュートラルスイッチで、クラッチがニュートラル(中立)状態で
無い限り、セルモーターが回らないようにする為のものです。尚このスイッチは
装着されてる場所は機種により違いますがマニュアルハンドル&セル付きの船外機の場合、
スターターリレーとスタータースイッチ(始動スイッチ又は始動ボタン)の間に配線されております。
リモコン仕様の船外機の場合は船外機側でなく通常リモコンボックス内に
もう少し小さいマイクロスイッチで付いています。セルモーターの付いてないエンジンにはありません。

スイッチは押すと電流が流れるようになっています。上の写真の場合はニュートラル状態で
スイッチが押されているので、スタータースイッチを押すと電流が流れセルモーターを回します。

写真間違えの為、後日掲載
クラッチを前進に入れた状態です。この状態ではスイッチが押されて無い為電流が流れません。
このスイッチと下側のスイッチを押すレバーとの距離が広くなり過ぎるとクラッチが前進や後進に
入っていてもスタータースイッチを入れるとセルモーターが周り急発進して危険な状態となります。

また内部の接触不良等が起きるとニュートラル状態でもスタータースイッチを入れても
セルモーターは回りません。この場合、スイッチから出ている黒いカバーが少しついた
茶色の線2本を両方とも途中で外し、スイッチ側でない相手の2本の線を結べば
直結となり、始動させる事は出来ますがニュートラル以外でも始動してい危険な為、
スイッチが壊れた応急処置以外は直結しないで下さい。

写真右に見える赤い線の付いた黒い物体がヒューズホルダーで内部に
10A〜30Aのヒューズが入っております。バッテリーとバッテリーコード等を
間違えて逆に接続した時などは、この中のヒューズが切断されるので交換してください。
機種によりすぐ見える場所にあったりカバーの中に入ってたりしています。
また管ヒューズでなく車と同じ板ヒューズを使ってる場合もあります。

 セルモーターが回らない原因として考えられるのは、バッテリーの上がり・バッテリー端子とバッテリーコード
又はバッテリーとバッテリー端子の汚れや緩みによる接触不良・ヒューズ切れ・ニュートラルスイッチの故障・
スターターリレーの故障・セルモーターの故障・バッテリーケーブルの内部抵抗増大又は内部切断・
配線の接続金具の接触不良・配線の切断又は内部抵抗の増大等が考えられます。
このうち、配線やバッテリーケーブルの内部抵抗増大の場合は配線に
電流が流れなくても抵抗により流れない為、配線が熱を持ち、最悪の場合煙が出て
燃えてしまう場合がありますので気をつけて下さい。


キルスイッチについて



写真右の赤いスイッチはストップボタンとキルスイッチを兼ねています。
ボタンを押すと点火プラグから火花が出なくなりエンジンは停止します。
また、スイッチ下にあるストッパ(赤い紐の付いたコード)を取り外しても同じ状態になります。




ストッパを取り外した状態です。火花が出なくなるだけですのでスタートスイッチを入れた場合、
セルモーターは回ります。セルモーターは回るけどエンジンが始動しない原因で多い一つとして
このストッパが嵌めてなかったり故障してる場合があります。

このストッパは本来操船者の身体の一部にコードを取り付け、落水した時に
ストッパを外しエンジンを緊急停止する為のものです。エンジンが停止しない場合、
最悪時はボートがその場でグルグル回り落水者を引いてプロペラに巻き込んでしまいます。
この装置とニュートラルスイッチ又は手動式の場合の機械式ニュートラル安全装置の装着
されてなかった20年以上前の初代店長時代の話ですが、当店のお客が
クラッチが少し入り気味になっていたのか手動スターターロープを引っ張りエンジンが
始動した瞬間にクラッチが入り和船が急発進し操船者落水となり船がその場で
回転し始めプロペラに巻かれて大怪我をしました。それからすぐに機械式ニュートラルスイッチ
が標準装備されたので全国的にも事故があったのだと思います。

ストッパを紛失し、緊急に始動したい場合は、このスイッチを引っ張った状態になるよう
ストッパの当たる部分に応急的に針金とか紐を巻けば始動可能です。
メーカーによってはこのストッパ方式でなく、ストッパの替わりにマグネットスイッチを
利用した物もあります。

和船など船外機本体で舵を取るマニュアル式の場合は写真のような感じで装着されてますが
ボートのようにリモコン式丸ハンドルの場合は一般的にエンジン本体(リモコン専用エンジンの場合)
でなく操船場所の始動スイッチの下に一般的に装着されております。
ただし、キルスイッチ(緊急停止スイッチ)のみで押し込んでのストッスイッチ機能は兼ねておりません。
スイッチの色も赤色でなく黒色が一般的です。




この赤いカールコードの左のフックを本来はズボンのベルト穴とかに通します。
マニュアル用船外機とリモコン用船外機共にこのストッパは同じ物を使用しています。
ヤマハマリンジェットの場合はカールコードの先端はフックでなく手首に巻くよう
幅広のクッション材の帯を通常使用しております。

スターターリレーについて



中指でゴムカバーを外し内部の6ミリナットの見えてる部品がスターターリレーです。
このリレーが内部で接触不良を起こすと始動スイッチを入れてもセルモーターは回りません。
このスイッチの良否の簡単な方法は写真のように上下2個のゴムカバーを外し、
2個のナットをドライバー等で(柄は絶縁タイプを必ず使用)接触して直結させ
セルモーターが回れば、このリレーが故障しており交換が必要です。
尚、この際火花が出て大変危険ですので実際に行う事はお勧め致しません。
また、この線にはプラス側の電気が流れており、ボディーはアースのマイナス電気が
流れているのでバッテリー側に近いナットと船外機のボディーを間違えてドライバー
等で接触させた場合は火花と共に大電流がさらに流れ大変危険です。

セルモーターの良否は安全を第一に考え、セルモーターを船外機から外し、
自動車のブースターケーブル等を使用してバッテリーと直接繋いで回ればまずOKです。
マイナスコードをセルモーターボディのエンジンと接してる部分に接続し、プラスコードを
リレーからセルモーターに繋いでる太目の線もしくはその線のセル側取り付け部に
強く接触(接続はしないで下さい)させて点検します。尚、長時間回すと
セルモーターが焼損してしまうのでテストは数秒行います。
また、プラス側を接続でなく強く接触させるのは危険防止の為です。
この際、バッテリーからのプラスコードをセルモーターボディーと接触させると
先程接続したマイナスコードと直結となり大電流が流れて大変危険なので
注意しながら作業は行います。

中にはこの時は勢いよく回っても実際に装着してセルモーターのピニオンギヤ(セルモーター
上部の小さい歯車)とフライホイール(船外機頭部にある大きな歯車)のギヤが噛みあった時に
セルモーターの不良(トルク不足)で勢いよく回らない場合もごく稀にあります。


トリムタブについて



プロペラの上のキャビテーションプレート(水平部分)に付いてるのが
トリムタブでこの機種の場合は防食亜鉛も兼ねています。
このトリムタブの向きを変えることにより、舵効き(この場合は直進安定性)が変わります。
ワイヤーやマニュアル等のメカニカル(機械)式ハンドルの場合、
直進時、ハンドルを右に取られたり左に取られたりする場合に左右同じ力で
ハンドルが切れるようにする為に向きを変えて調整します。
油圧式操舵装置の場合はハンドルロック機能が働くので実際はハンドルを
どちらかに取られてても取られ具合が分かりに難いのが現状です。



直進走行時、ハンドルから手をほんの少し離した場合、船が右に旋回しようとする場合は
写真のようにトリムタブをトリムタブ取り付けボルトを軽く緩めてエンジン後部から見て右に回転させます。
右に向けると余計に右に回ってしまうのではと思う方も居ると思いますが、
右に回転させることにより、走行時正面からの水流が曲げた部分に当たり、
それが抵抗となり船外機を真上カから見た場合、船外機を船外機本体の舵軸に対し右回転させる
押す力が働くからです。舵軸に対し右回転と言うことは船外機は左折する方向に向くので
角度を調節して左右同じ力でハンドル操作でき、直進時に軽く手を離しても
真っ直ぐに進むように調整致します。

ちなみにハンドルを完全に固定させトリムタブを写真のように右に回すと今度は
逆に船は右に旋回しようとします。

直進しようとするする船に対しての抵抗と考えるのではなく、直進しようとする
船外機の舵に対しての抵抗と考えれば分かり易いかも知れません。




船が左に旋回しようとする場合は今度は前の写真とは逆にトリムタブを左に回転させます。
調整後はトリムタブ取り付けボルトの締め付けをお忘れなく。