ギヤオイル交換の仕方
2002/12/11新規
2003/05/15一部文章追加。



まず、ギヤオイルを購入しましょう。ヤマハの場合、350MLと750MLがあります。
差込口も忘れずに貰って来てください。このギヤオイルのグレードはGL-4で
粘度はSAE90です。他社の同レベルのギヤオイルでも問題は無い筈ですが
純正ギヤオイル以外を使用した場合は、保証の対象外となりますので保証期間内
の場合は純正ギヤオイルの使用をお勧め致します。

  

このギヤオイルは#90と粘度が高いので特に寒い時などはオイルが硬くて入りが悪いです。
その場合は少しぬるま湯等に浸ける等して(湯が中には入り込まないよう注意)暖めてから
使用すると良いでしょう。また差込口の先端が結構細いので少しでも早く注入する為に
先端を1センチ前後切り取ってオイル出口開口部を広くした方が作業はし易いです。
切り過ぎに注意して下さい。





舵を真っ直ぐにし、オイル排出口が一番下に向くようエンジンをチルトアップさせます。





雑誌のギヤオイル交換方には最初に下側のドレンプラグを緩めてオイルを抜くと
書いてある場合が多いですが、ギヤオイル室内の圧力が内部空気の膨張により高い場合、
ドレンプラグを外した瞬間にオイルが上側に溜まってる膨張空気に押され飛び散る
場合があるので、最初は上側を一旦緩めて中の膨張された空気を抜きます。
ただし、この場合、下側ほどではありませんが時々少量ですがオイルが飛び散る場合が
ありますので、念のため飛び散っても良いようにボロ切れ等でガードしながら
外した方が無難です。ネジの緩み終わりはゆっくり緩めて外して下さい。
緩めて外し、中の圧力を開放したら再度ネジを軽く締めて下さい。





下側のドレンプラグを外します。
上側のネジが締まっており、オイルシール等に異常がなくギヤケースの密閉が
良ければ写真のように上側のネジを緩めるまでは少しずつしかオイルは出てきません。
ガスケットパッキンがエンジン側に張り付いたままの場合がありますので
外した時に確認して下さい。外した場合はネジ締め付け時に忘れないようにして下さい。

尚、このガスケットは私の経験では損傷が無い限り交換しないほうが無難です。
新品に交換した場合、かなり強くネジを締めても数時間エンジンを使用すると
ガスケットが少し死ぬみたいでネジが緩くなってる場合がほとんどです。
ただし、私のように交換してからそのエンジンに再度触るのがいつになるか
分からない場合で、頻繁にそのエンジンに接する人の場合はガスケットを
交換して定期的にネジを増し締めする事をお勧め致します。
定期的に増し締めが難しい方は痛んでない限り交換しない方が無難だと思います。

前の写真で上側のネジを軽く締めたのはこのためで、上側のネジを外したままで
下側のネジを外すと外した瞬間にオイルが出てきて手を汚しやすいです。
これはペットボトルの中に水を入れ、逆さまにした場合、水の出は悪いですが
空気室に穴を開けてさらに追加空気が入りやすくすれば水の出が良くなるのと
同じ原理です。





上側のネジを緩めると下側からオイルが出て来ます。
寒くてオイルの粘度が高い場合を除いて、上側のネジが締まった状態でも
下側のネジを外したらオイルが写真のように出てきた場合は
ウォーターポンプの下にあるドライブシャフト用オイルシールやプロペラシャフト用のオイルシール、
又はシフトロッド(クラッチ棒)のシフトロッドブーツ等の不良が考えられ、そこから
空気が漏れて入ってくることが考えられます。
大抵その場合はギヤオイルに水が混じるのでオイルの色はクリーム色か白色、
もしくは白っぽいグレーになってます。

真っ黒の場合は車のエンジンオイルと同じで長時間オイルを交換せずに
エンジンを使用している場合です。ただし、115馬力前後以上の高馬力、高トルク
の船外機の場合、低馬力の船外機に比べ、数倍早く黒くなります。


 

下側のドレンプレグで先端に付着してるのはギヤなどの鉄粉です。




左が上側のネジで右が下側のネジです。
下側のネジの先には磁石がついており鉄粉を吸着します。
旧タイプや一部エンジンでは上下とも磁石のついて無い
左側のタイプを使ってる場合があります。





時々、ギヤオイルのドレンプラグがドライバーでは簡単に緩まない場合があります。
その場合は写真のようにインパクトドライバー(ショックドライバー)を使うか
酸素トーチ等でネジ周辺を軽く暖めると効果があります。
ショックドライバーはホームセンターで安いものでは2.000円前後からあります。



 

最初に用意したギヤオイルのキャップと中蓋を外し、差込口を装着します。
差込口を下側のギヤオイル穴に差し込み、最初にチューブに入ってる空気を先に
追い出してからギヤオイルを注入します。





上から出てくるまで入れて下さい。





上から出てきて空気の混じりが少なくなったら上のネジを先に締めて下さい。
上を先に閉めないで差込口を外すと外した瞬間にオイルが沢山出てきてしまいます。
左手にチューブを持ってる為、両手が使えずネジをドライバーで完全に締め込み
にくいので(出来ない事はありませんが)私の場合は右手で軽く締めてます。





下側のネジを完全に閉めこみます。





最後に先程軽く締めた上側のネジを完全に締めます。
垂れたオイルを綺麗に拭き取り廃油処理をすれば作業完了です。

ちなみに完全にチルトアップ(エンジンを起こす事)でオイル交換をすると、
下側のオイル穴の位置の関係でオイルは完全には抜けません。
また、一番オイルが抜ける状態でオイルを完全に抜いてから一旦完全チルトアップし
ギヤオイルを注入していくとチルトアップした状態やオイルが完全に抜ける位置まで
チルトダウンした(エンジンを下げた)時よりも垂直になるまで
チルトを下げた場合の方がより多くのオイルが入ります。

通常私の場合は抜く時は今まで書いてきた方法で行ってますが注入する時は
チルトを下げて注入しています。ただし下げないで注入しても問題はありません。
ただし完全にチルトアップした状態で注入した場合、量の関係で問題が
あるかは、今まで「問題ないと思う」とのメーカーの返事でしたが
再確認した所、「問題が起きない設計だが、念のためチルトダウンした
状態で入れたほうがベスト」と云う回答でした。





この機種のように同じようなネジが4つ(または3つ)付いてる場合があります。
船外機右上のネジはオイルレベルのネジで「OIL LEVEL」とネジの下に書いてあります。
左上は船外機を水道ホースを使って水洗いする時にアダプターを差し込むネジで
ネジの下には「WASH」と書いてあります。今はこのネジのついてない船外機の
方が多いです。中央右のネジはクラッチシャフトの抜け止め用のネジですので
間違って外さないで下さい。このネジもついてない機種の方が多いです。
塗装の剥がれた少し上の中央にある一番下のネジがオイルドレンのネジ
で「OIL」と書いてあります。尚、機種によりネジがオイル関係の2個しか
ついてない場合はこの「OIL」と「OIL LEVEL」の記載の無い場合もあります。





1枚,前の写真の拡大です。右上がクラッチ抜け止めのネジ。
中央下がオイルドレンのネジ(オイルドレンプラグ)です。
オイルドレンプラグの下に薄っすらと「OIL]と書いてあります。





この機種の場合は下の拡大写真を見るとさらに分かりますが
上側右が「OIL LEVEL」。その左が水洗用の「WASH」
一番下が「OIL」のネジです。ちなみにこの写真のように
エンジンをチルトアップ(エンジンを起こす事)しない方がギヤオイルが
一番抜ける場合は、このように垂直の状態で交換して下さい。





1枚上の写真の拡大です。

左:水洗用に「WASH」 右:オイル規定レベルの「OIL LEVEL」と書かれています。