ヤマハ40XWH(40馬力)インペラ交換の仕方
2002/09/14掲載

他メーカーや他機種の場合は多少違いますが参考にはなると思います。




まず、クラッチレバーのジョイント(繋ぎ目)を10ミリのスパナ2個を使って取り外します。
上の長いナットは右(写真向こう側)に下の短いナットは左(写真手前側)に回して緩めます。



ジョイントを外した所です。写真では分かりやすい様、クラッチを前進に入れ、
アジャストナット(クラッチ位置調整用の長いナット)を上に引き上げています。




トリムタブ(この機種の場合は防食亜鉛兼、直進性安定装置)を取り外します。
このトリムタブは亜鉛で出来ており、エンジンが腐るのを防止してるので決して塗装などは
塗らないで下さい。また、表面が塩で白くなったりしたらペーパーやナイフ等で削って
金属部が露出するようにして下さい。尚、メーカーにより防食亜鉛を兼ねてないプラスチック製とかの
場合もあります。この場合は他の箇所に亜鉛が付いています。また無い機種もあります。




トリムタブの取り付けボルトは機種により指で指したゴム(又はプラスチック)カバー
の中にあります。このエンジン(ヤマハ40X)の場合、、中のボルトは下の写真の亜鉛取り付け
ボルトが入っており亜鉛を交換しない限り緩める必要はありません。
1枚上の写真のようにトリムタブを下からボルトで止めてない場合のみ、このゴムキャップ
の中のボルトを緩めてトリムタブを外して下さい。




ヤマハの船外機の低馬力以外の多くはここにボルトが1本あります。
古いエンジンの場合、取れない場合が多く、捻じ切ってしまう場合もあります。
その場合は酸素(酸素+アセチレン)の火力でボルト周辺を暖めて(塗装が取れるほど)
ドライバー等でロワーケースの合い面を打ち込んで壊さないよう注意しながら
外すしかありません。ただし熱し過ぎるとアルミが解けてボルトにくっつき
余計に取れなくなる場合があるので注意して下さい。




ロワーケースのボルトを外します。
ロワーケース(ロワーケーシング)=これから取り外すエンジン下側の主に水の中に入る部分一式の
部品を指します。これより上のケースはアッパーケース(又はアッパーケーシング)
と呼びます。




ボルトを全部緩めても張り付いて取れない場合はプラスチックハンマー等で
割らないようにして叩いて取るか合い面にドライバーを打ち込んで取ります。
叩いた瞬間に取れて下に落ちるのを防止するためボルトを1本か2本、半分程度ネジ込んで
おくとよいでしょう。左の四角い部品は亜鉛でその上に見えるボルトで固定されてます。
そのボルトの少し右の下から出てる金属がロワーケースの位置決めをする
ノックピンです。このピンは分解時上側か下側のどちらかについてきます。
時々外れて落ちる場合もあるので組み付け時に忘れないようにして下さい。




ロワーケースのボルト4本を外します。このネジが根元で折れると折れたボルトをドリルで穴明けしようと
してもドライブシャフト(金色のパイプの中を通ってるシャフトでエンジンのクランクからの回転力を下の
プロペラシャフトに伝える役目)が邪魔してドリルが使用出来ません。その為構造の関係上
プロペラシャフトを外してからドライブシャフトを外さなければならないので
費用と手間のかかる修理となりますので折らないよう注意して下さい。

右に見えるナットのついたシャフトが
シフトロッド(クラッチ棒)です。これを上に引き上げられると前進、中央で中立、押し込むと後進に
クラッチは入ります。確認はプロペラを手で回て行います。中立時はぺラは左右どちらにも
簡単に回ります。尚、機種によりこの押し引きタイプでなく回転方式もあります。




右の黒い部品名称は「(上側の)ウオーターポンプハイジング」その中にある
丸いステンレスの部品は「インサートカートリッジ」。マイナスドライバーで持ち上げてる
ゴム製の黒い羽のついたのは「インペラ」。その下のステンレス板は「アウタプレートカートリッジ」
ただしメーカーにより名称はは違います。ここの部分を総称して「ウオーターポンプ」と呼びます。

インペラが手で簡単に取れない場合はマイナスドライバー等でアウタプレートカートリッジとか
インペラを傷つけないようにして上に持ち上げてください。古いエンジン等ではインペラ上のシャフトに
塩の塊とか汚れがついおりインペラが抜けない場合が多いので、この部分をペーパー等で
綺麗にしておき、油やグリスを薄く塗っておくと取れやすくなります。




手で持ってるのがクラッチレバーです。機種により、この根元にゴム製の蛇腹のブーツ
があり、ギヤオイルのシールをしてるのですが古くなると蛇腹に亀裂が入りギヤケースに
水が入るので蛇腹にひびとか亀裂がはいってないか確認して下さい。

尚、このシャフトは機種により上に引き上げすぎると面倒な事に
なるので引き上げすぎに注意して下さい。




インペラ内部の溝にドライブシャフトのキーを合わせるようにインペラを取り付けます。
インペラには向きの有る場合がありますので注意して下さい。




インペラはゴム製のため、水のが通じるまでは潤滑不足となり傷めやすいので
グリスを塗って潤滑させておきます。また、ボルトも塩が付き取り外し困難になるのを
防止する為にグリスを塗っておきます。上の3本は良い塗り方で下の1本は悪い塗り方です。
下のようにネジ山先端頭部に山のように塗ってまったままネジ込むと
穴が貫通穴でない限り、グリスの逃げ場が無く油圧作用で相手のケースを割ってしまう事があります。




ウオーターポンプハウジング(ウオーターポンプカバーとも言います)を嵌めるのですが
通常ドライブシャフトが右回転なのでドライブシャフトを右に回しながらハウジングを
(又はハウジングを左に回しながら)嵌めてください。逆に回すとインペラの羽根が内部で逆向きに
なってしまいます。回転方向は機種により念のため確認しておいて下さい。




ポンプの取り付け中




順序が少し違いますがウオーターチューブ(上から来てる金色の冷却水用パイプ)と
ウオーターポンプハウジングに付いているグロメット(手の平上左の黒いゴム製の部品)
の両方のあたりが悪いと水漏れを起こし、冷却水不足を生じるので
出来ればグロメットを交換しておいた方が良いでしょう。内部に軽くグリスを塗布して下さい。
メーカーによりグリスでなくシリコンを使う場合もあるように聞いていますが
この情報は正確なものかは未確認です。




ウオーターチューブも水漏れ(水逃げ)防止の為、ペーパー等で綺麗にしてからグリスを塗布します。
私の場合は240番(ペーパーの目の粗さ番号)以上の耐水ペーパーを使用しています。




一番上になる、ドライブシャフト先端にもグリスを塗ります。実際はもう少し下の段まで塗ります。
スプライン(溝)の下にはクランクシリンダ(エンジンブロック)側のオイルシールが接します。




ドライブシャフト(中央の金色パイプの中)をクランクのスプライン(溝)に合わせながら入れると同時に
ウオーターチューブをウオーターポンプに差し込みます。上手くドライブシャフトが入らない場合は、
スプラインが上手く噛み合っていないのでエンジンカバーを開けてフライホイールを回転方向
(この場合は右、機種により左もあります)に少し回して入れてみて下さい。
またノックピン(位置決めピン)にも注意してノックピンと穴が合っているかも確認して下さい。

クラッチレバーがスプライン式(溝嵌め込み式)の場合は、互いの溝に入るようにして下さい。
この時、スプラインの溝位置を間違えて嵌めるとクラッチの入り具合がおかしくなりますので
上側のクラッチレバーとロワーケース側のクラッチシャフト共にニュートラルの位置のまま取り付けてください。

後は分解の逆でネジを締め、トリムタブを取り付け、クラッチレバーの接続と調節(嵌め合い式の場合は通常確認のみ)
で作業完了です。取り付け後は必ずクラッチの位置と入り具合を確認をして下さい。


補足



クラッチの調整は外した状態で上の長いナットを伸ばした状態で繋げば後進に入りやすくなり
逆に縮めた状態で繋げば前進に入りやすくなります。スズキ船外機の一部は外観は同じでも
接続した状態で接続を深くしたり浅くしたりする事により調整するものもあります。

下側のナットは緩み止めの役目をするので、組み立て時は上側のナットを左に(手前に)
下側のナットを右に(向こう側に)スパナで回して互いのナットをくっつける形で締め付けて下さい。