23000ヒット達成記念

人生を変えた?フランス国鉄TGV 南東線用23000系「TGV-PSE」車輌

<その2・“TGV”その特徴ある外観>

車止めから400mを歩いて、やっと先頭車まで辿り着きました。TGV専用として在来線ホームから転用改造された先端は、日本の私鉄ターミナルを思わせる狭さです。ホームの屋根もこの辺りはサッパリありません。近くに居た、“作業員氏”に頼んでシャッターを押してもらった写真です。傾きだけでなく、激ブレショットですが「輪郭補正」が見事に効きました!今、改めて見ると・・・検査用?のピットがありました。トロリーポールを使用していた頃の路面電車用を思わせるシンプルな張り方の架線に注目してください!「低速区間」と割り切った、如何にもフランスらしい考え方です。

パリ・リヨン駅TGVホームぎりぎりに停車する第14編成TGV23028。両端の動力車は全長23.15mです。これまた、シンプルな架線の様子が良く判ります。周囲は、パリ市内にしては近代的なビルが目立ちます。市街地再開発が行われたのでしょう。

フランス第二の都市、リヨン・ペラッシュ駅に停車するTGV23048ほかの10両編成。乗客の少ない列車は、1編成単独で運転される。全長200mは、「手頃な」長さです。『フランス第二』といっても、日本の政令都市規模でいえば最低位です。しかし、TGV開業と合わせて地下鉄が開通し、一度は廃止された路面電車も他のフランスの都市同様に近年復活したと聞いています。

大都市内では在来線とその駅を流用するTGV方式は、建設コスト軽減や工期短縮に大きな利点を持ちます。在来線の列車密度や駅のホーム数に余裕があり、スピードも「新幹線上野〜大宮」よりは速いので何ら、問題は無いのでしょう。

↓手前の軌道中央部にある波型をした突起は、その姿から「ワニ」を表す“クロコディール”という列車自動停止装置の地上子です。つまり「ATS地上子」です。その歴史は古く、日本の大正時代から使われていたとのこと。「走れ」のときはプラスの電圧を「止まれ」のときはマイナスの電圧を印加し、車上子がこれを直接擦り(!)検知するという極めて単純な機構です。TGVといえども、在来線走行中(最高速度160キロまで)は、このシステムを使用している。

センスのいい配色とスタイリングが映えるサイドビュー。細かいことだが、連結面まで塗装が周り込んでいるところが泣かせます。かつて「こだま型」などもそうだった。しかしやがて、妻面の塗り分けは無くなってしまった。この角度から見ると、屋根上を中心に空力対策が施されていることが判ります。折りたたまれている高速走行用の交流集電用2段式パンタが見えます。1編成10両のうち動力台車は、両端の動力車とその次位各1台車の計6台車です。交流25000V区間では、サイリスタ位相制御を行い連続定格出力6300KWを発揮し最高速度は285Km/h以上です。直流1500V区間では、交流位相制御用のサイリスタを流用しチョッパ制御を行う関係で、この容量が制限される。出力は約半分となり、最高速度も160Km/h程度らしい。

リヨン・ペラッシュ駅構内の複雑な配線の構内を車体をくねらせて引き上げる、2編成併結20両編成のTGV。ダブルスリップスイッチが幾重にも配置された、典型的なヨーロッパ方式の配線です。架線の方も「(@_@)!」状態です。

動力車の台車Y230形。枕バネは負担重量の関係で2連のコイルバネ。横方向の剛性も担う。この中に、連続出力525KWの大出力直流モーターを持つ。駆動方式は、二段式の可撓継手をもつスライド式カルダンといわれている特殊なもの。これにより、モーターの重量は完全に車体上(通常のカルダン駆動は、台車の軸バネ上)に上がり、「バネ下重量」は飛躍的に軽減された。古くから、機関車でこだわってきた機構がTGVにも活かされたわけです。日本でも最近御馴染みとなった「ヨーダンパー」が目立ちます。

「TGV」を最も印象付ける連接台車Y231。連接車体の中間に食い込んだ巨大なコイルバネ!世界一の高速列車がコイルバネ台車というのにまず驚いた。そして、コイルバネの支持点を車体重心の上で支えることにより横方向の力に対して自然振り子式台車のような効果を生み出している。Y230台車と共に、ホイールベースは何と3000ミリ!地を這うような安定した乗心地の秘訣が、ここにあります。車軸の内側には、一軸当り4枚の滑走検知装置付きのブレーキディスクが付いています。更に、踏面清掃装置(通常のブレーキシュー形)も装備され、フラット防止に万全を期しています。動力集中式高速列車の一番の弱点を克服するための見えない努力です。

経年と共に、ビビリ振動が激しくなり、連接台車の枕バネは空気バネに改造されました。後継車もすべて空気バネになりましたが、独特の構造はそのまま受け継がれています。

検査時に必要な情報が簡略な絵で表されているのは、他の車輌同様です。車輌形式番号のうち<ZR>は電車の付随車<B>は2等車<ru>は・・・確か、荷物合造だったかな???⇒《サハニ》ですネ(^^ゞ

Y230台車の軸バネ部分アップ。中心にダンパー、その周囲にゴムと鋼板をサンドイッチした独特の構造の「バネ」というか「減衰装置」でしょうか?受け皿となる部分は鋳鉄製に見える。台車枠の直線的な鋼板溶接部分と対照的に見えます。台車枠に、無神経?に取り付けられたステップは、とても高速列車の台車には見えません。

動力車側面に取り付けられた銘板。上が電機品、下が車体メーカーを表します。日本の機関車と全く同じですね。左下の表記は・・・・・「独立台車ブレーキ」なることですが「Y」と「Z」の意味が・・・(?_?)

中間車体は、18.7mです。ヨーロッパの長距離車輌としてはかなり短いです。この車輌は「サハシ」・・・後方の高い小窓から、ビュフェのある車輌であることが判ります。ステップが半分出ているのは???

先頭動力車の次位の片方の台車はY230動力台車です。出力が不足する分、はみ出したような格好です。1個の出力1100KWという交流モーターが採用された「TGV−A」からは、付随台車となった。戸袋無しの外開きプラグドアや可動ステップ・・・そして、驚異的に低い床面高に注目して欲しい!我が「新幹線」の床面は、塗り分け線の辺りです。屋根上機器の「フェアリング」も見逃せません。

連接部分のアップです。交流区間での1編成1パンタを実現した高圧屋根上引き通し。空力を考慮した碍子と対照的に細いケーブル・・・何とも単純な構造です。高電圧小電流だからこそ出来る芸当ですね。左の窓は、非常換気用に開閉できる構造です。軽量化と剛性確保の為に小さくなった窓が印象的です。

パリ・リヨン駅・リヨン・ペラッシュ駅にて  1982-4-1・4-6

アサヒペンタックスSPF PLUS-X  同SPU KR SMCタクマー24ミリF3.5、35ミリF3.5、55ミリF1.8、120ミリF2.8

続く


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