2003-11-19 カウンター・掲示板設置三周年記念

我国初の空気バネ台車

汽車会社製KS50

1984年9月  大阪弁天町 交通科学館

現在では、鉄道車両の台車用として我国は勿論、世界的にも広く普及している「空気バネ」・・・その起源は、皮肉にも?元から空気バネ状態≠フ自動車用(有名な「グレイハウンド」の長距離バス?)でした。アメリカとはいえ、当時の道路状況やタイヤ、足回りの性能が如何に劣悪だったかが伺い知れます。我国では、当時の運輸省が補助金を出し、鉄道車両に応用する試験がはじまりました。当初は、国鉄気動車の動力・従台車双方に取り付けられ、走行試験に具されたそうです。 その結果を元に、たった1両とはいえ、記念すべき初の営業車輌用≠ニして、1955年に当時の汽車会社で製造され、元々新型台車の研究、導入に積極的だった京阪電鉄の1700系Tc車1759に取り付けられたのがこのKS50です。

現在の「空気バネ台車」の常識とは、根本的に異なり・・・枕バネではなく、ウィング式の軸バネ≠ェ空気バネになっているのが目を惹きます!これは、当時の空気バネベローズの製造技術や自動車用からの流用・・・ということに起因していますが、この時点では枕バネと軸バネのどちらを空気バネ化すれば良いかが確認されていなかった、という事実があります。

とにかく、従来の台車とは一線を画す乗り心地の良さは充分に認められ、1810系特急車1880形T車に振り替えられました。その後、再度1900系テレビカーに編入され1951に改番されました。この状態で、3000系登場で一般車に格下げされるまで現役で活躍し、その後に1台が交通科学館(もう1台は京阪寝屋川工場)に保存展示されたものが、この写真です。製造当初の写真を見ると、軸受けと台車枠の間にオイルダンパーが配されて(空気バネの過度のフワフワ≠抑えるためでしょう)いましたが、こちらにはありません。台車枠に取り付け座を撤去した跡が見られます。物々しい高さ調節弁や圧力計(!)も目を惹きます。この白黒写真からも、京阪の台車独特の青緑色≠ェうかがい知れます。枕バネ座から伸びた側受構造も変わっています。  機構的には量産に至らなかったこの台車も、乗り心地は非常に良かったと聞きます。乗車機会に恵まれなかったことが、本当に悔やまれます。 

大阪在住中に、折角ここまで行きながら、撮った写真はこの1枚だけ・・・。何とも(自分の行動が)理解できません。。。京阪寝屋川工場の公開では現在でも拝むことが出来ますが、コチラの方はどうなっているのでしょう? とにかく、機会があったら細部を激写≠オたいですね!

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